北大法科大学院の民事法基礎ゼミ 目次
- 民事法基礎ゼミとは/弁護士・基礎ゼミコーディネイター斎藤隆広
- シラバス:民事法基礎ゼミの内容と進行予定表
- 問題例第5回―賃貸借など典型契約
- 優秀答案例第5回―賃貸借など典型契約/3年課程 久保田京
- 民事法基礎ゼミを担当して/弁護士・兼担教員 桶谷治
- あるゼミ講師の苦悩/弁護士・兼担教員 中村元弥
- 北大LSの超目玉商品/弁護士・兼担教員 前田尚一
- 学生から見た民事法基礎ゼミ/3年課程 田中徳彦
民事法基礎ゼミとは/弁護士・基礎ゼミコーディネイター斎藤隆広
民事法基礎ゼミとは、大教室で行われる民事法の講義の論点を含む設問を、実務家(弁護士)である教員が応じて毎回出題し、2000字程度の論文の形で学生全員に回答を作成させたうえ、毎回2名の報告者がその内容や問題点を報告したのち、これについて学生全員が議論する、という15人程度のゼミ形式の授業です。北大法科大学院では3年課程に開設されており、平成16年度は計10回のゼミが予定されています。
この講座の原型は、オーストラリアのロースクールなどで実施されている「チュートリアル」という少人数形式の授業です。アメリカのロースクールで行われているいわゆるソクラティック・メソッドとの違いは、①ケースブック等ではなく、講師が自ら取り扱った事案に基づき作成した設問を使用すること、②学生は必ず答案を書くこと、③報告者が授業の始めに報告を行うこと、④特定の学生だけでなく全員が必ず議論に参加すること、です。このように、人的物的両面において大変なコストを要する授業であるために、残念ながら、オーストラリアでは近時これを縮小ないしは廃止するロースクールもみられます。
けれども、大教室での知識を確実なものとするには、講義の直後に、そこで扱った論点を含む具体的事案を分析するのが早道です。この場合、かような論点を含む具体的事例を題材に論文を作成し添削指導を受けるのが、知識を活性化させるうえで有効でしょう。基礎ゼミの主眼は、まさにこの点にあります。
論文の添削指導は、また、法律文書作成能力を高めるとともに、合格答案のイメージを養ううえでも、最適な学習法といえます。
さらに、発表者の学生は、講師とゼミ生の前で説得力のある主張を展開しなければならないほか、他の学生も、この発表を踏まえて積極的に議論に参加しなければなりません。そのため、法的弁論能力や説得術を養成する効果も、大いに期待できます。加えて、集団で議論する経験は、将来チームの一員として法的な作業を行ううえでも、必ずや役立つことでしょう。
発表者の答案と優秀答案はその都度学生に配布されるほか、ゼミ専用のHPを通じて学生は様々な情報を交換できます。そのため、予習や復習を含む理解を深めるための議論が、活発かつ容易に行えるようになっています。
こう書くと、いいこと尽くめのように聞こえますが、未知の論点について計10回の答案を作成するだけでも、学生にとっては相当の負担です。また、スケジュール構築、出題、採点そして講評を行う講師陣も、大変な労力を傾注します。そのため、平成16年度は、5名の大学側スタッフと、12名の弁護士が、このゼミのためだけのプロジェクトチームを立ち上げて、様々な作業に従事しているのです。
このように、大変ハードな内容でありながら、これまでに実施された6講の授業を通じて、答案を提出しなかった学生は一人もおりません。このことは、基礎ゼミに参加すれば多くの能力を身につけられると学生が評価していることの現れではないか、と考えています。そこで、この期待に応え、基礎ゼミをより良いものにすべく、総計17名のスタッフは、さらに一丸となって努力しているのです。

最終更新日:平成21年4月1日

