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附属高等法政教育研究センター

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目的と役割~センター長挨拶

ご挨拶

北海道大学大学院法学研究科は、社会の様々な問題に対処するための専門的かつ実践的研究をおこなうため、2000年4月に、教員定員17名(教授6名、准教授3名、助教8名)を擁する附属高等法政教育研究センターを設置しました。本センターは、統治とデモクラシーの新しいかたちを探る「ガバナンス部門」、現代社会の変化にともなう法現象のダイナミクスを考える「法動態部門」、さらに市場、文化、政治の国際的広がりを分析する「グローバリゼーション部門」から構成され、それぞれの部門に専任教員を配置しています。設立以来、本センターは先端的研究を行う一方で、その成果を社会に発信するために活発な事業を行ってきました。

日本社会は、大きな転換の中にあり、これにともなって、社会のシステムの再構築は避けて通れないものになっています。経済のグローバル化や脱工業化の流れは、日本の経済システムを大きく変容させました。終身雇用制や護送船団方式に象徴されるかつての日本の特徴は、いまや姿を消しつつあります。他方で、こうした変化が生み出す経済格差や生活の不安定性が、多様な課題を生み出しています。社会生活のなかでも、ライフスタイルが多様化し、グローバル化が進展して異なる文化的背景を持つ人々が増えるなかで、もはや均質な価値観やコンセンサスと前提にすることは困難になっています。多様な文化や価値観を持つ人々を公正に処遇するとともに、共通のルールを作り出すことが求められているのです。市民と政府の関係のあり方も問われています。複雑化する一方の社会において、福祉・子育て・環境・治安・地域おこしなどの課題に対処するために、市民のはたすべき役割は大きくなるばかりですが、他方で、政府や自治体が市民と協働するための効果的な手法は、まだ十分に確立していません。

変革の時代には、意見や利害の対立も深刻化します。しかもSNSに代表されるように、情報技術の飛躍的な発達は、知識の流通のあり方を大きく変えました。だれでも容易に情報を発信できる環境は、これまで周縁化されていた人々が声をあげることを可能にしました。「アラブの春」や「Me too運動」はそれを象徴するできごとです。他方で新しい技術は、個人のなまの感情をネット空間に噴出させ、偽りの情報を大量に流通させることにもなりました。このような「ポスト・トゥルース」の時代において、大学のはたすべき役割は、かつてなく大きいと思われます。さまざまな対立からいったん距離をとり、客観的な分析をおこない、社会にとって可能な選択肢を提示すること。こうした使命をはたすべく、本センターも活動を続けてゆきたいと思います。

本センターの活動に、多くのみなさまのご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

高等法政教育研究センター長
辻康夫
2019年5月

更新日 2019.08.01