ページ上に戻る ページ上に戻る

附属高等法政教育研究センター

menu

 イベント詳細

シンポジウム・研究会の記録

2003.8.3 掲載

公開シンポジウム 「先住民族のガバナンス―自治権と自然環境の管理をめぐって」

グローバリゼーションの急激な進展は、世界の先住民族にも大きな影響を与えています。多国籍企業による資源の支配や、エコツーリズムの名のもとに先進国の人々が大挙しておしかけ、先住民族の文化や自然資源を破壊している例も少なくありません。しかし一方では、インターネットの普及などによって先住民族がお互いに連携しあい、共通の権利や価値観をより効果的に主張できる可能性もでてきています。

各先住民族の自治権や自然環境を管理する権利がどのような状態にあるか、それらがグローバリゼーションによってどう変わってきているか、という問題に焦点を絞り、世界の5つの先住民族から現状や問題点を講演していただき、北海道のアイヌの意見をまじえてパネルディスカッションを行います。
 
◆講演: (午前)10:00~12:05;(午後)13:35~14:45

1. アイザック・ビシャラ(青少年発達教育者)
(Isaac Bishara, Educator Youth Development)(ニュージーランド・マオリ)
“Me Kii taku ngakau – Let my heart speak.”
2. マーセリーン・ノートン(フパ民族教育局長)
(Marcellene Norton, Education Director for Hoopa Valley Tribe)(アメリカ・フパ)
“HOOPA NATION: THE RESILIENCE, RESISTANCEAND REVIVIFICATION OF A PEOPLE”
3. ロジャー・スカーヴィック(学生・ノルウェー労働党)
(Roger Skarvik, student/Norweigian Labour Party)(ノルウェー・サーミ)
“A decisive moment in time”

パネルディスカッション:「先住民族の自治権と自然環境管理」  15:00~17:00

パネリスト:(順不同)

 アイザック・ビシャラ、マーセリーン・ノートン、ロジャー・スカーヴィック、
 小川隆吉(アイヌ民族共有地財産訴訟原告団代表)、
 阿部ユポ((社)北海道ウタリ協会理事)

コーディネーター:

 小野有五(北海道大学大学院地球環境科学研究科教授)

※講演・パネルディスカッションには日本語通訳がつきます。
※海外講演者は変更になる場合もあります。

日  時: 2003年8月3日(日)10:00~17:00 (開場9:30)
会  場: 北海道大学学術交流会館 小講堂 
      札幌市北区北8条西5丁目(北大正門横)
問合せ: 北海道大学法学部   電話 011-706-3119

●主催/北海道大学大学院法学研究科附属高等法政教育研究センター
      学術創成研究プロジェクト
●共催/ワールド・ユース・キャンプ(World Youth Camp)2003実行委員会

※入場無料、参加ご希望の方は直接会場へお越し下さい。※自家用車は構内に乗り入れできません。
※シンポジウムの最新情報は http://www.global-g.jp/symposium.html にてお確かめください。

※シンポジウム後、講演者・ユースグループとアイヌ・アート・プロジェクトによる音楽交流祭が開かれます。
☆8月3日(日)18:00~21:00 北海道クリスチャンセンター 2F大ホール(札幌市北区北7条西6丁目)
 入場無料(問い合わせ:011-831-1675(アイヌ・アート・プロジェクト事務局・早坂))

 

資料

1.アイザック・ビシャラ(Isaac Bishara)(ニュージーランド・マオリ)
  “Me Kii taku ngakau – Let my heart speak.”

2.マーセリーン・ノートン(Marcellene Norton)(アメリカ・フパ)
  “HOOPA NATION: THE RESILIENCE, RESISTANCEAND REVIVIFICATION OF A PEOPLE”

3.ロジャー・スカーヴィック(Roger Skarvik)(ノルウェー・サーミ)
  ”A decisive moment in time”

 

要約

先住民族の自治権や自然環境を管理する権利の状態、またグローバリゼーションによるそれらへの影響について講演、パネルディスカッションが行われた。

三つの講演では、まずマオリが歴史的概要に沿って1840年のワイタンギ条約から現在における入植者との関係の変化などを話した。同様にフパも、歴史の流れの中での文化の伝承の取り組みとその変化について話した。サーミは現状ついて焦点を当て、政治的活動、法的に保障されている権利などについて話した。

パネルディスカッションはアイヌ民族へ対する非認識・誤認識、実生活に基づいての差別の実状のコメントから始まり、各民族の体験を共有した。文化の重要な要素である言語への制圧とその使用の回復、民族の定義と個人の自覚に対する周囲環境の変化とその影響の比較も行われた。

パネリスト同士、会場参加者からの多岐にわたるコメント、質問により充実したシンポジウムとなった。

 

 

感想

●世界の先住民族の中で、アイヌ民族の権利回復運動が不足しているのか、アイヌ民族のおかれている現状は厳しいようだ。アイヌ民族への国際的支援を構築するために、もっと回数を多く開催して世論をつくり、札幌市、道庁、国に訴えてください。(札幌市 団体職員)

●北海道に住んでいながら、自分の土地に関する歴史について説明することや、明確な意見を持てていなかったという気がします。今回のパネリストの方々は、自分の民族の文化・歴史に誇りを持っているように感じられた気がします。日本でおこるだんだんと悪化している事件などは、この民族の誇りに大きく関わっている気がしました。(札幌市 会社員)

●大変有意義な一日を過ごすことができました。このような機会を設けていただきありがとうございました。今後もこういったシンポジウムが継続されてゆくとよいなと思います。(北広島市 学生)

●すばらしい内容でした。どうもありがとうございました。(石狩市 日本語ボランティア)

●北海道に生まれ育っていながら何も知りませんでした。もっと学びたいと思いました。
昼食後14時までのビデオ上映(アイヌ民族の古い古い熊祭り)は大変珍しく感謝を致します。(東区)

●差別され続けた先住民族の底深い怒りと深い哀しみ、言語文化のことはわかったが、人間性豊かな先住民族の優しさ、共生の素晴らしさの実体験が聞けず物足りなかった。心に響くそれぞれのお話を聞きたかった。イヌイット、アボリジニ、ハイタ族の参加を期待します。(旭川市)

●新聞を見て参加した。“北海道人として生きるとは?”いろいろな角度から考えている。アイヌ民族と北海道について考えることはその第一歩である。世界の先住民族の声を直接聞くことができて役立った。植民地・北海道を実感するところから、“胸を張って生きる” 一歩一歩そんな道を歩こうとしている。在日朝鮮民族の問題を含めて“共存”を考えている。今日のセミナーはよかった。小・中・高教師が多く集まってほしかった。(札幌市 無職)

●パネルディスカッションで来ていたアイヌの方の怒りたい気持ちも確かにわかるが、他の3つの民族の方たちがわりに穏やかに話してくれるのと対照的で、同じ環境下にあるだけに残念だった。応援していきたいので、もっと精神的な文化レベルの高さを持ち続けて頑張って欲しい。(神戸市 学生)

●大学内で海外の研究者の発表を聞く機会は今回が初めてで勉強の励みになった。文学部で民族学を学んでいるが、阿部さんと小川さんの話を重く受けとめたい。日本人として、北大に在籍する学生として、自分がこの差別の問題に対してできることを考えたい。(札幌市 学生)

●人類の権利に関する原初的な課題が今日参加された各先住民族の代表の方々によって提起され率直に学ぶことができた。(先住民がどのような立場におかれてきたかが・・)
 人が人をなぜ差別したり蔑視したりするか、その根源的・原初的問題はどこにあるのかについて共通の理解が必要なのではないだろうか。

●言葉の原語教育等に対する各国の努力に敬意を表します。(札幌市 無職)

●私自身初めて接することばかりでした。世界それも北米、北欧、南半球の先住民族の人々の生の話、また、美しい歌声など興味深く聞かせていただきました。このような機会に恵まれた事に感謝しています。そして先住民族の人々が持っている共通の世界観こそ、今の世の中に必要なものではないのか?と感じました。“全てのこと、ものとの共生”の気持ちこそ我々の持つべき考え方の基本だと思いました。(札幌市 無職)