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附属高等法政教育研究センター

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平成18年度 〈市場システム〉の法を考える


平成18年度法学研究科公開講座 市場システムの法を考える

主催/北海道大学大学院法学研究科/附属高等法政教育研究センター

 いわゆる構造改革が進む日本社会。一方では規制緩和・民営化が促進されるなか、しかし昨今ではまた失業や格差問題、あるいはライブドア問題や企業買収などを典型とする複雑な企業活動による利益拡大の問題などに見られるような構造改革の負の側面も現われつつあります。しかし、いずれの側面を重視するにしても、市場システムはもはや21世紀の政治・経済・社会にとって不可避の枠組みとなっており、それを完全に否定することはできません。そうであるなら、重要な問題は、時に暴走もするこの<市場>というシステムをどのように私たち市民の利益やニーズに資するようにコントロールしてゆくかということであり、そこで法や政治が果たすべき役割は何か、ということでしょう。

 そこで、今回の公開講座では、現代日本社会における様々な市場活動を念頭に置きながら、<市場システム>を形づくり、またコントロールしようとする様々な法や政治の動きを立体的に整理して、このシステムを利用しまた監視もするための市民としての視点を探ってみたいと思います。そこでは、特に経済法、会社法、知的財産法、消費者法、地方自治といった諸領域から見た<市場システム>の姿や問題点を洗い出し、それにどのように対応してゆけばよいのか、その基本的な指針を皆さんと共に考えてみたいと思います。

談合と競争政策

講師:北海道大学大学院法学研究科・助教授 中川寛子

 日本の経済社会において、最も根深く、真っ向から競争原理と対立する問題は何か。先ず挙げられるのは「談合」であろう。近年とりわけ脚光を浴びて(?)いるのが、官製談合である。談合「正当化」論によれば、曰く聖徳太子以来の「和」の精神、曰く築城工事以来の伝統、云々・・・。しかし、談合がなくなれば、落札価格は2-3割下がるといわれている。官製談合においては、これはまさに税金の無駄遣いを意味する。昨年話題になった橋梁談合など、工事規模に照らせば、恐るべき金額である。これをなお、「伝統」といい維持すべきだろうか?

 競争政策の旗手たる独占禁止法では、談合やカルテルを「不当な取引制限」として禁止する。そして、排除措置命令、課徴金納付命令、刑事罰、損害賠償請求等あらゆる手段を準備して、その排除・抑止に努めている。この講座では、独占禁止法による規制を具体例を挙げて紹介するとともに、私たち市民は、市場経済社会の一員としてどのような役割を果たしうるのか、考えてみたい。

新『会社法』

講師:北海道大学大学院法学研究科・教授 大塚龍児

 平成17年6月29日、新たな「会社法」が成立し、平成18年5月1日より施行されました。

 市場システムの最下流における当事者の半分は消費者ですが、半分は企業、会社(特に株式会社および有限会社)といってよく、その上流においては農産物を除く物およびサービスの担い手は大半が企業、会社です。

 「会社法」は、商法第2編、有限会社法、商法監査特例法等を1つの法典として再編成すると共に、会社法制に関する様々な制度につき見直しを行っています。その内容は多岐にわたりますが、興味を持ってもらえるテーマとして、
1.最低資本金制度の見直し(資本金0円の株式会社を設立できる)
2.株式会社制度と有限会社制度の統合〔従来の有限会社はどうなる)
3.株券不発行が原則(ペーパー・レス社会への対応)
4.起業家にとって自由な組織編成と株式構成(株主総会さえあえば取締役一人だけで株式会社を運営できる。拒否権つき株式)
5.組織再編行為の見直し(日本の会社の株主が、ある日外国会社の株主となっていた)
等について一緒に考えてみたいと思います。

知的財産法への招待

講師:北海道大学大学院法学研究科・教授 田村善之

 経済社会が成熟するにつれて、経済の重点が「モノ」づくりだけではなく、サービスであるとか、モノについてどのような付加価値をつける のか、といった「ソフト」の面に移ってきている。それとともに、ソフトに対する権利である知的財産権が注目されるようになってきた。

 日本は,明治時代以来,どちらかというと一貫して先進国の技術をいかに模倣して産業を発展させるのかということに軸足を置いていた。日本が知的財産の保護水準の高い国に仲間入りしたのは, ごく最近のことなのである。

 近頃は「知財立国」という言葉が国家政策として語られるようになり,1990年代以降, 矢継ぎ早に法改正がなされ, 知的財産の保護の整備とその強化が図られている。しかし,知的財産法の究極の目的が,知的財産の創出ばかりでなく,その利用を促進し産業や文化の発展を図るというところにあるのだとすれば,単に知的財産権の保護を強化すればよいというものではなく,利用の便宜も睨んだバランスのとれた保護が必要となる。本講座では,知的財産法の趣旨はどこにあるのか, そして, 知的財産法の制度はどのような観点に留意して設計していくべきなのか, ということを検討してみようと思う。

競争秩序と消費者法

講師:北海道大学大学院法学研究科・教授 池田清治

 エンドユーザーたる消費者は、明らかに市場参加者の一員である。そして、市場システムが正常に作用しているとき、つまり、そこで公正な競争が行われているとき、消費者はより良いものをより安く手に入れることができるから、間違いなく、市場システムの維持・管理に利害関係を有している。しかし、その利害関係の持ち方は、たとえば同業他社が公正な競争に対して持つ利害関係とは必ずしも同一でない。同業他社を害する不公正な競争行為があったとしても、その行為によって消費者が常に「直接的に」被害を受けるとは限らない。すると、消費者はどのような場合に、どの程度の範囲まで市場システムの制御に関わりを持つべきなのか。消費者基本法の制定や消費者契約法の改正に見られるように、この分野では近時注目すべき動向が急速に展開しつつあるので、その背景も踏まえたうえで、あるべき方向性を検討してみたい。

市場システムと地方分権

講師:北海道大学公共政策大学院・助教授 山崎幹根

 近年のグローバル化、経済構造の変化は国家と市場との関係のみならず、国と地方自治体との関係の再考を迫っている。国家主導による経済政策の限界が指摘され、地方自治体が直接に世界市場と結びつき、独自の発展戦略を指向する可能性が広がっている。一方、地域の資源・人材・情報などを活用した地域政策が注目されており、その担い手として地方自治体の役割が重視されている。こうした傾向は「国民国家の終焉」を招来するのであろうか。ここでは、イギリスのスコットランド政府や北海道の道州制構想を事例としながら検討してゆきたい。

開催概要

1. 開講日程(時間:午後6時30分~午後8時30分)

第1回 平成18年7月27日(木) 談合と競争政策
北海道大学大学院法学研究科 助教授 中川寛子

第2回 平成18年8月3日(木) 新「会社法」
北海道大学大学院法学研究科 教授 大塚龍児

第3回 平成18年8月17日(木) 知的財産法への招待
北海道大学大学院法学研究科 教授 田村善之

第4回 平成18年8月24日(木) 競争秩序と消費者法
北海道大学大学院法学研究科 教授 池田清治

第5回 平成18年8月31日(木) 市場システムと地方分権
北海道大学公共政策大学院 助教授 山崎幹根

2.実施会場

北海道大学人文・社会科学総合教育研究棟 W301室
(札幌市北区北9条西7丁目)

3.受講資格

満18歳以上の方であればどなたでも受講できます。

4.定員

50名

5.申込要領

(ア)申込期間

平成18年6月12日(月)から平成18年7月24日(月)まで(土曜日・日曜日及ぴ祝日を除く)午前9時から午後5時15分
なお、受講者数に限りがありますので、申込期間内であっても定員に達した場合には申込を締切る場合があります。

(イ)申込場所

札幌市北区北9条西7丁目
北海道大学法学研究科・法学部庶務係

(ウ)申込手続

受講申込書(コピー可)に必要事項を記入のうえ、直接または郵送にてお申し込みください。
(受講者証は公開講座初日にお渡しします。)

6.受講料

(ア)金額

3,500円

(イ)納付方法

公開講座初日の平成18年7月27日(木)に受付へ納めてください。
なお、納入した受講料はお返しできません。

7.修了証書

4回以上受講した方には、修了証書を授与します。

8.その他

(ア)この講座に関するお問い合わせ先

北海道大学法学研究科・法学部庶務係
〒060-0809 札幌市北区北9条西7丁目 電話011-706-3119(直通)

(イ)申込場所

申込場所および実施会場の略図は別図のとおりです。(車での来学はご遠慮願います)

(ウ)備考

道民カレッジに入学されている方で、本講座を受講し、修了証書の交付を受けた方は、道民カレッジの単位を取得することができます。(本講座:10単位)

●申込場所及び実施会場案内図

申込場所・実施会場
地下鉄「北12条駅」下車徒歩10分(約600m)
中央バス「北大正門前」下車徒歩5分(約300m)
JR札幌駅「北口」より徒歩13分(約800m)
※車での来学はご遠慮願います。

更新日 2016.04.12