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附属高等法政教育研究センター

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平成19年度 市民生活と民主主義


平成19年度法学研究科公開講座 市民生活と民主主義

主催/北海道大学大学院法学研究科/附属高等法政教育研究センター
後援/札幌市教育委員会
(道民カレッジ連携講座「教養コース」)

 ここ数年、いわゆる構造改革が進む一方で、様々な社会問題も発生して来ている現代日本社会。その法や政治、そして経済などの大きな変動をより適切なものにしてゆくためには、何といってもそれらの目的でありまた手段でもある民主主義の活性化が欠かせません。しかし、その半面では、個々人の価値観の多様化、世代間の利害対立の発生、経済的格差の拡大、若年層における社会的喪失感の広がりなど、人々のまとまりとは裏腹な条件が広がってもいます。そのような中で、私たちは現代日本の民主主義をどのように維持し、方向づけてゆけばよいのでしょうか。また、そのためには私たち市民の一人一人はどのような考えや心構えを持つべきなのでしょうか。

 今回の公開講座では、私たち市民が、現代の民主主義の制度やメカニズムに対してどのような理解を持って臨み、様々な障害を克服しながらそれらをより適切な形で生かしてゆけばよいのかという問題を、民主主義の基本思想、議会のあるべき姿、市民運動の意義、行政訴訟の可能性、選挙と地方自治の未来などを焦点にしつつ、北大法学研究科のスタッフと共に多角的に考えてゆきたいと思います。

 皆さんの積極的なご参加をお待ちしています。

「民主主義思想とその現代的変容」

講師:北海道大学大学院法学研究科・教授 権左武志

 ここ数年、日本政治の争点は目まぐるしく推移していますが、「戦後レジームからの脱却」が掲げられ、7月の参院選挙では憲法改正が最大の争点とされようとしている現代の日本で、戦後60年を迎えた民主主義の思想と制度がその真価を試されようとしていることは言うまでもないでしょう。しかし、60年前に日本国憲法の制定とともに確立した「戦後体制」にも、これに生きた生命を吹き込んだ民主主義の思想と運動がありました。そして、戦後日本における民主主義思想の担い手たちは、いずれも日中戦争や太平洋戦争の体験から歴史的な教訓を引き出し、これを民主主義の運動から民主主義の制度へ血肉化しようと努力したのです。他方で、冷戦終焉後の日本でも、1993年以来の政治改革論議で、民主主義のあるべき制度が議論され、デモクラシーとは何かが問われましたが、これら制度改革論は、構造改革論議と交錯しつつ、政治家主導で実現を見たばかりか、「戦後体制」そのものを疑問視する改憲論議へ発展していきました。

 この初回講座では、戦後思想の最も代表的な論者である丸山眞男氏(1914-1996)の民主主義思想を取り上げ、最近公刊された『丸山眞男回顧談』等によりつつ、それが、時代の課題と格闘しつつ戦争体験を思想化する試みであった点を明らかにしたいと思います。その上で、過去15年間の政治改革を主導した有力な政治学者の民主主義思想を再検討し、この15年間で戦後思想の何が引き継がれ、何が忘れ去られたのか、そして民主主義の進むべき方向は何か、を皆さんと一緒に考えてみたいと思います。

「選挙の意義と自治」

講師:北海道大学公共政策大学院・教授 山口二郎

 小泉政権の5年間で、日本の政治の様相は大きく変わりました。特に、選挙の実態の変わり様はきわめて大きいものがあります。この講座では、なぜ最近の選挙が変わったのか、メディア、選挙制度、政党の構造などの観点から考えてみたいと思います。さらに、無党派層といわれる有権者が何を考え、どのような行動を取っているのか。彼らは、なぜ自分たちにとって不利になる「新自由主義的構造改革」を支持したのかを、分析してみたいと思います。

「裁判を通しての権利形成・法形成と民主主義」

講師:北海道大学大学院法学研究科 附属高等法政教育研究センター・教授 今井弘道

 1960-70年代の「四大公害訴訟」に象徴される裁判は、「現代型訴訟」の原型を作り出したとも言えますが、それは、日本の法文化を大きく変容させました。最も重要な点は、それが、裁判を通しての権利形成・法形成の可能性を示した点にあります。そのことが「多数者の利益」に対抗する「少数者の権利」の保護という問題に対して示した意味は小さくありませんが、この問題は、同時に、市民の社会形成への参加の、政治過程とは別のチャネルを示したという意味でもきわめて重要な意味をもっています。

 このような問題を念頭に置きながら、司法の独自性、そこへの市民参加の意味、そしてそのことと政治過程における民主主義との関係について考察します。

「民主主義と情報公開」

講師:北海道大学大学院法学研究科・教授 村上裕章

 民主主義を実現する上で情報公開が重要であることは、今日ではもはや常識に属します。情報公開制度は現代国家の「標準装備」といっても過言ではありません。日本では当初、地方公共団体の取組みが先行したが、1999(平成11)年に「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」(情報公開法)が成立し、制度としてすっかり定着した感があります。この間に裁判所が下した判決も膨大な数に上ります。
 しかし他方で、運用の過程において様々な問題が指摘されており、改革が求められている点も少なくありません。そこで、本講座では、情報公開のこれまでの歩みを振り返り、現行制度の概要を確認するとともに、今後の課題と改革の方途を皆さんとともに考えてみることにしたいと思います。

「国会制度の現代的意義」

講師:北海道大学大学院法学研究科・教授 岡田信弘

 日本国憲法は、国会について、「国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である」と定めています(第41条)。ところが、実際の政治のありようを見ると、国会は必ずしもこの規定通りの役割を果たしているとはいえません。「官邸主導の政治」という言葉を最近よく目にします。立法については、制定される法律の8割以上は内閣提出法案だとされています。このような現象をどのように評価したらよいのでしょうか。また、国会を取り巻く政治的社会的環境の中で、国会のあるべき立ち位置をどのように描いたらよいのでしょうか。
 こうした問いに対する答を、憲法の観点からできる限り具体的な問題に即して探ってみたいと思います。
 ところで、地方自治体の財政破綻が至るところで問題となっています。この問題と地方議会とは深い関わりを持っているように思われます。したがって、地方議会の問題も視野に入れつつ、国会や議会の「現代的意義」について検討したいと考えています。

開催概要

1. 開講日程(時間:午後6時30分~午後8時30分)

第1回 平成19年7月26日(木)民主主義思想とその現代的変容
北海道大学大学院法学研究科 教授 権左武志

第2回 平成19年8月2日(木)選挙の意義と自治
北海道大学公共政策大学院 教授 山口二郎

第3回 平成19年8月9日(木)裁判を通しての権利形成・法形成と民主主義
北海道大学大学院法学研究科 附属高等法政教育研究センター教授 今井弘道

第4回 平成19年8月23日(木)民主主義と情報公開
北海道大学大学院法学研究科 教授 村上裕章

第5回 平成19年8月30日(木) 国会制度の現代的意義
北海道大学大学院法学研究科 教授 岡田信弘

2.実施会場

北海道大学人文・社会科学総合教育研究棟 W301室
(札幌市北区北9条西7丁目)

3.受講資格

満18歳以上の方であればどなたでも受講できます。

4.定員

50名

5.申込要領

(ア)申込期間

平成19年7月2日(月)から平成19年7月20日(金)まで(土曜日・日曜日及ぴ祝日を除く)午前9時から午後5時15分
なお、受講者数に限りがありますので、申込期間内であっても定員に達した場合には申込を締切る場合があります。

(イ)申込場所

札幌市北区北9条西7丁目
北海道大学法学研究科・法学部庶務担当

(ウ)申込方法

受講申込書(コピー可)に必要事項を記入のうえ、直接または郵送にてお申し込みください。
(受講者証は所定の振込用紙のE票(郵便振替払込受付証明書・北海道大学受付証明書)と引換えに公開講座初日にお渡しします。)

6.受講料

(ア)金額

3,500円

(イ)納付方法

受講申込後に郵送します所定の振込用紙ご利用の上、銀行または郵便局によりお振込み願います。
お振込みは必ず窓口で行い、E票を受領してください(E票は公開講座初日に受講者証と引換えいたしますので、ATM(現金自動預払機)は利用しないでください)
なお、納入した受講料はお返しできません。

7.修了証書

4回以上受講した方には、修了証書を授与します。

8.その他

(ア)この講座に関するお問い合わせ先

北海道大学法学研究科・法学部庶務担当
〒060-0809 札幌市北区北9条西7丁目 電話011-706-3119(直通)

(イ)申込場所

申込場所および実施会場の略図は別図のとおりです。(車での来学はご遠慮願います)

(ウ)備考

道民カレッジに入学されている方で、本講座を受講し、修了証書の交付を受けた方は、道民カレッジの単位を取得することができます。(本講座:10単位)

●申込場所及び実施会場案内図

申込場所・実施会場
地下鉄「北12条駅」下車徒歩10分(約600m)
中央バス「北大正門前」下車徒歩5分(約300m)
JR札幌駅「北口」より徒歩13分(約800m)
※車での来学はご遠慮願います。

更新日 2016.04.12