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附属高等法政教育研究センター

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平成25年度 大国化する中国を知る


平成25年度公開講座「大国化する中国を知る」
 主催/北海道大学大学院法学研究科/附属高等法政教育研究センター
後援/札幌市教育委員会(道民カレッジ連携講座「教養コース」)

 このたび, 法学研究科及び附属高等法政教育研究センターでは, 7月22日から8月19日までの毎週月曜日(8月12日を除く),全4回にわたって,公開講座「大国化する中国を知る」を開講し,定員の50名を上回る61名の受講者を得ました。

 GDPで日本を追い抜き,軍事的にも膨張を続けるなか,日本を始め周辺国と衝突や緊張を繰り返す中国。一党独裁体制,民主活動家への抑圧,大気汚染,ニセ物天国,反日暴動などなど–。メディアを通して伝えられる中国の横顔に戸惑いを覚えることも少なくありませんが,日本にとっては今後も付き合わざるをえない重要な隣国です。

 本講義では,中国が見せる多面的な姿に,市民社会(NGO),女性,労働者,裁判という4つの切り口からアプローチ。中国の「今」を研究し続ける4人の講師から,意外な中国の素顔について語ってもらいました。

 受講者は60~70代を中心に,80代から30代まで。幅広い年齢層の方々の参加に,今回のテーマに対する世代を超えた関心の高さが伺われました。

 講義では,豊富な写真や資料をもとに,現代中国のリアルな素顔が紹介されました。「法」や「社会」,「国家」などのあらゆる面で日本とは大きく異なるその姿に,受講席から驚きの声が漏れる場面も多数。深く頷き,熱心にメモをとられる方,じっとスライドを見つめる方。受講者それぞれに「意外な中国」を感じ取られたのではないでしょうか。

 出席者数は毎回50名以上。暑い日が続く中での開催でしたが,好評のうちに全日程を終えることができました。

講義一覧

日程 講義題目 講師
第1回 7月22日(月) 中国における市民社会の生成
――党・国家・市場との関係から
北海道大学大学院法学研究科
附属高等法政教育研究センター

教授 鈴木 賢
第2回 7月29日(月) 中国の女性はいま
――ジェンダー秩序の変容
<北海道大学大学院法学研究科
附属高等法政教育研究センター

助教 李 妍淑
第3回 8月 5日(月) 世界の工場・中国の
労働者と労働現場
北海道大学大学院法学研究科
附属高等法政教育研究センター
/中国人民大学労働人事学院

教授 常 凱
第4回 8月19日(月) 裁判を通じてみた中国社会 北海道大学大学院法学研究科
附属高等法政教育研究センター

講師 徐 行

講義概要

「中国における市民社会の生成――党・国家・市場との関係から

 講 師:北海道大学法学研究科教授/
     附属高等法政教育研究センター長 鈴木 賢

 中国の、この30年にわたる改革開放は、一元的な共産党の指導のもとで進められてきました。最近では党によるコントロールは企業や社会団体、NGO、インターネットなどの新しいメディアなどにも及び始めていますが、その一方、中国市民の中には、こうした厳しい統制をかいくぐりながら様々な分野でたくましく自律的な活動をしている人たちもいます。

 本講義では、中国の市民社会、特にNGOなどの市民団体がどのような環境のもとでどんな活動をしているかを紹介。その様子を通じて、逆に中国の統治構造の特徴を浮き彫りにしていきました。共産党一党独裁のもと、外国からの援助を受けながら草の根の活動を続ける市民の姿に、多くの受講者の方が、知っているようで知らなかった「等身大の中国」を感じとられたのではないでしょうか。

0722

「中国の女性はいま――ジェンダー秩序の変容」

 講 師:北海道大学法学研究科附属高等法政教育研究センター
     助教 李 妍淑

 中国における女性の社会的地位は一般的に高いと思われ勝ちですが、実際には、女性に対する暴力、政治や労働をめぐる差別的取扱いの問題など、女性が社会から排除され周縁へと追いやられている局面もしばしば見られます。

 本講義では、中国の女性を取り巻く問題状況について検討するとともに、「ジェンダー秩序」という視点から、中国の文化や社会システムを解説。毛沢東時代から現代までの「女性がおかれた状況」について振り返り、今後、「いかなるジェンダー秩序が目指されようとしているのか」を考えました。

 就職や大学入試などにおいて、今も行われる性差別の実態や、「一人っ子政策」による様々な問題などを、その根幹にある「性差別が生まれる構造」も含めて解説。中国女性の姿を通じて、日本社会の中でのジェンダー問題についても考えさせられる講義でした。

0729

「世界の工場・中国の労働者と労働現場」

 講 師:北海道大学法学研究科附属高等法政教育研究センター
     /中国人民大学労働人事学院 教授 常 凱

 改革開放以来30年。経済のグローバル化が進む中、中国は「世界の工場」と呼ばれるようになりましたが、その世界工場を支えるのは3億人を超える賃金労働者です。2010年に入り、日系企業で爆発的に発生したストライキなどの労働争議をきっかけに、労働問題や労働紛争は、中国で最も注目される経済問題、社会問題、法律問題となりつつあります。

 本講座では、こうした中国の労働問題の現状–計画経済期から文化大革命期を経て現在に至るまでの労働者の生活状況、意識、労働紛争の特徴、中国政府の労働施策などについて、豊富な資料をもとに紹介しました。

 講義は中国語で行われましたが、常凱教授のエネルギッシュな語り口と、鈴木センター長のテンポの良い通訳で、受講者のみなさんも集中して聞き入っていらっしゃいました。

0805

「裁判を通じてみた中国社会」

 講 師:北海道大学法学研究科附属高等法政教育研究センター
     講師 徐 行

 「中国に法はあるのか」、「法があるとして、それはちゃんと機能しているのか」という「古典的」な問いがありますが、中国における裁判を見る限り、法が機能する場面は多々あります。「ただし、それが日本で行われている裁判と同質なものであるかは別問題」と語る徐行講師。

 本講義では、中国における「裁判」を、現代中国社会を理解する重要な手がかりとして位置づけ、「中国人が裁判をどういう風に見て、どういった場面で利用し、紛争や問題をどう解決しているのか」について、近年の事例をもとに解説。裁判所すら党の統制下におかれる中国社会の現実と、ネット世論を味方に闘う市民の姿を紹介しながら、現代中国社会の横顔に迫りました。

 「裁判」を通して見えてくる現代中国社会の様々な問題について理解を深めると同時に、普段はあまり意識に上らない「司法の独立」についても考えさせられた2時間でした。

0819


最終講義の終了後には閉講式がおこなわれ,鈴木附属高等法政教育研究センター長から所定の回数(3回以上)を受講した56名に修了証書が授与されました。

更新日 2016.04.12