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附属高等法政教育研究センター

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平成26年度 なぜ憲法改正なのか?


平成26年度公開講座「なぜ憲法改正なのか?」(道民カレッジ連携講座「教養コース」)
主催/北海道大学大学院法学研究科/附属高等法政教育研究センター

 このたび法学研究科及び附属高等法政教育研究センターでは、7月24日から8月21日までの毎週木曜日(8月14日を除く)、全4回にわたって、公開講座「なぜ憲法改正なのか?」を開講しました。
多くの人が関心を持ちながらも、なぜか議論の場が少ない憲法改正問題。このテーマに正面から取り組んだ本講座には、受付開始前から問い合わせが寄せられるなど学内外の反響も大きく、当初予定定員50名を大きく上回る94名の受講者を得ての開催となりました。

 全4回の講座では「憲法改正について市民とともに多角的に考える機会をもとう」という主旨のもと、憲法学、政治学、比較法、国際政治等を専門とする講師陣から、それぞれの視点から見た憲法改正についての講義が行われました。
 講義では、憲法の意味や立憲主義の解説に始まり、戦後民主政治の動き、変質する日本社会と政治の行方、国際社会から見た9条と日米安保との関係などが語られ、憲法改正問題を通して浮き彫りになる「日本が抱える課題」に受講者からも活発な質問や意見が出されました。
 受講者は60~70代を中心に80代から20代まで。例年に比べ若い世代や初参加の方が目立ちました。また、全回出席された受講者67名の中には、札幌まで片道3時間以上かけて通われた方も見られるなど、多くの受講者が意欲的に参加されている様子が伺えました。
 講義後の質疑の時間には、毎回たくさんの受講者が手を挙げ、それぞれの立場から率直な意見や疑問を投げかける光景が繰り広げられました。この問題への市民の関心の高さを実感するとともに、大学が地域社会において果たすべき責任と役割を再確認した講座となりました。

講義一覧

日程 講義題目 講師
第1回 7月24日(木)
「立憲主義・憲法・憲法改正――憲法改正問題を考える際のポイント――」
北海道大学大学院法学研究科
教授 佐々木 雅寿
第2回 7月31日(木) 「民意による政治の意義と限界――なぜデモクラシーと立憲主義が結び付くのか」 法政大学法学部教授,北海道大学名誉教授
山口 二郎
第3回 8月 7日(木) 「自民党草案の反立憲主義的性格について――中国憲法との比較の視点から」 北海道大学大学院法学研究科
附属高等法政教育研究センター
教授 鈴木 賢
第4回 8月21日(木) 「憲法9条は日本の安全を保障するか」 北海道大学大学院法学研究科・公共政策大学院
教授 遠藤 乾

講義概要

「立憲主義・憲法・憲法改正
――憲法改正問題を考える際のポイント――

 講 師:北海道大学大学院法学研究科
     教授 佐々木 雅寿

 第一回目は、憲法学を専門とする佐々木教授より「憲法改正問題に関して、各人が最終的な結論を出す前に是非考えていただきたい、いくつかのポイント」について講義が行われました。

 国の権力を制限して国民の基本的人権を守るという「立憲主義」、立憲主義に立脚する「憲法の意味」、憲法の範囲内で国が統治を行うという「法の支配」や「法治主義」など、改正問題を考えるための原点となる基本的概念についての説明の後、現在行われている改正議論の論点についても論及。

 複雑な論点が平易な言葉で説き起こされた講義の後は、受講者からも活発な質疑が寄せられるなど、初回から非常に密度の濃い2時間となりました。

0724

「民意による政治の意義と限界
――なぜデモクラシーと立憲主義が結び付くのか」

 講 師:法政大学法学部教授,北海道大学名誉教授
     山口 二郎

 第二回目の講師は、この春から法政大に移られた山口教授。初代・高等研センター長でもある山口教授に、久しぶりの北大の教壇で政治学者の立場から見た憲法改正問題について語っていただきました。

 「民意をより直接的に発露させれば、民主政治はうまくいくか」という問題をテーマに、「民主政治とは何か」「安倍政権の歴史的位相」「集団的自衛権行使の本質」「政治の現状」などについて戦後政治の動きを追いながら解説。

 民意を絶対化することによって、多元性や寛容という価値の破壊が進んでいくことを危惧し「立憲主義と民主主義が結びつかなければ、民意を体現する安全な民主政治は実現できない」と、現在の政治状況に警鐘を鳴らしました。

0731

「自民党草案の反立憲主義的性格について――中国憲法との比較の視点から

 講 師:北海道大学法学研究科教授/
     附属高等法政教育研究センター長 鈴木 賢

 第三回目は、センター長である鈴木教授より「自民党草案の内容を理解するための補助線」として、中国憲法との比較から見た自民党草案についての講義が行われました。

 2012年に作成された改正草案の中に「権力者ばかりか国民にも憲法遵守義務を規定」「国家に家父長主義的な役割を認めようとする規定がある」など、現行の中国憲法にも通じる特徴があることを指摘。近代立憲主義を正面から否定する中国憲法との対比を通じて、憲法改正のもつ反立憲主義的な性格を浮き上がらせました。

 政治、社会をはじめ様々な面で中国化が進行する日本の現状について、「我々有権者、国民がこれをどうとらえたらよいかということは、一人ひとりの課題」と締めくくりました。

0807

「憲法9条は日本の安全を保障するか」

 講 師:北海道大学法学研究科・公共政策大学院
     教授  遠藤 乾

 最終回の遠藤教授の講義では「憲法9条が戦後日本において歴史的に担っていた役割」をテーマに、国際政治、安全保障の観点から「9条」に焦点を絞った議論が繰り広げられました。

 講義の初めに「憲法の盲目的墨守は、思考停止の元」と語った遠藤教授。「9条が成り立っている国際的な構造」「日本の安全保障にとって持つ意味」の再検討を講義の目的とし、戦後日本の国家安全保障構造である「9条=安保体制」について解説。憲法9条の下の平和主義・軽武装が、日米安保体制の下の米軍による軍事安全保障・重武装とセットとなり、地域の安全・日本の安全に寄与してきた一方、安保体制のコスト負担が沖縄に偏重する状況に言及するなど、現代日本が抱える困難な課題について、受講者とともに考えるアクティブな講義となりました。

0821


 最終講義の終了後には閉講式がおこなわれ,亘理格法学研究科長から所定の回数(3回以上)を受講した89名に修了証書が授与されました。

更新日 2016.04.12