司法試験合格発表に際して法科大学院長からのメッセージ

司法試験合格発表の報に接し,合格者の方々に心からお慶び申し上げます。

これまでの努力はこの時のためにあったといっても過言ではないでしょう。

想い起こせば,入学の日に胸を踊らせていたあの時から,慌ただしく時が過ぎたことと思います。法科大学院修了,司法試験合格と無事にここまで来ました。

しかし,これは通過点にしか過ぎません。これから皆さんは,法科大学院で学んだ基礎教育を資産として,これを活かし,社会に還元しなければなりません。これこそが皆さんに課せられた使命なのであり,為事なのです。

進む道は人それぞれ違うと思います。裁判官,検察官,弁護士,企業法務,国家公務員,研究者,さまざまな選択肢が用意されていると思います。これは皆さんの一生の仕事につながります。

安直に周りの雑音に惑わされることなく,慎重にご自分で決定してください。それが皆さんの人生の大いなる一歩であることは間違いないからです。

今回、惜しくも合格に至らなかった皆さんには、励ましの言葉を贈りたいと思います。そのうえで、自分が合格に至らなかった原因を検討してみて下さい。

それをすることが、将来の合格のための最短ルートだと思います。法律家になるのが1年遅れることになりますが、どうかこの1年を無駄にしないでいただきたく思います。

試験の準備は当然ですが、人間的に大きく成長して、より良き法律家になってもらいたいと思います。成功からは学ぶところは少なく、逆に失敗からは学ぶところが多いと言います。

この1年を将来、ぜひ人生に活かしていただきたく思います。そして来年の合格祝賀会を笑顔で迎えましょう。

 

2015年9月9日

北海道大学法科大学院長  小名木 明宏