司法試験合格発表に際して法科大学院長からのメッセージ

 司法試験に合格したみなさん、おめでとうございます。
 これまでみなさんは、司法試験に合格するという目標に向かって多大な努力をされてきたことと思います。その努力が報われたことを心から嬉しく思います。
 今はその喜びを心ゆくまで味わってください。

 しかし、司法試験の合格は、法曹として活躍するみなさんの長いキャリアからみると、ひとつの通過点にすぎません。これからみなさんは、少なくとも以下の二つについてさらなる努力が求められます。ひとつは、法曹としての確かな基礎力を維持し続けつつ、高度な応用力・発展力、そして専門性を身につけるため日々研鑽をつむことです。法科大学院で習った知識は、すぐに古くなり、常に最新のものにアップデートする必要があります。法曹として活躍し続けるためには、これからも勉強・研究を継続することが不可欠となります。もうひとつは、みなさんが目標とする法曹像に近づくための努力です。これまでの人生のなかで、理想の法曹またはヒーローやヒロインとなった法曹に出会ったことがある人もいると思います。自分が目指す法曹像に少しでも近づけるよう、知識や技術だけではなく、人間としての魅力を高めるための努力も続けてください。司法試験合格という困難なタスクをクリアーしたみなさんであれば、必ず、実現できると信じています。
 みなさんがこれからご活躍されることを大いに期待しています。
 最後に、将来、みなさんが、北大法科大学院の教育・運営等にもご協力いただけることもお願いいたします。

 今回、合格に至らなかったみなさんには、大変つらい結果だと思います。
 今は、頭、身体そして心を休めてください。
 そして、新たなチャレンジを始めてください。北大学法科大学院は、みなさんの再チャレンジもできうる限りサポートしたいと考えています。
 新たなチャレンジが実を結ぶことを祈っています。

 

2018年9月11日

北海道大学法科大学院長  佐々木 雅寿