司法試験合格発表に際して法科大学院長からのメッセージ

   司法試験に合格した皆さんに、心からお祝いを申し上げます。
   今年度は、コロナ禍の下、司法試験の実施時期が延期されるという前代未聞の出来事がありました。しかも、延期された後の日程がしばらくの間は公表されないという状況も続きました。このような中で、勉強の計画をどのように立てればよいのか、「試験まであと何日」と思いながら準備をすればよいのか、といったことさえ明確にならず、皆さんには想像を絶するプレッシャーがあったことと思います。しかし、見事に合格した皆さんには、将来「自分はコロナのときに頑張った」と自負する資格があります。この自信を胸に、これからも前進してください。

 もちろん、司法試験の合格は皆さんの法曹としてのキャリアの出発点にすぎません。法科大学院で身に着けた知識・技術も、すぐに「賞味期限切れ」となり、皆さん一人一人が責任をもってアップデートすることが必要になります。また、皆さんには、それぞれ理想とする法曹像があることと思います。徐々にその法曹像に近づけるように、人間力(正確には、人間力のうち、知的能力要素以外の部分)にもさらに磨きをかけることを忘れないでください。併せて、近い将来、皆さんに本法科大学院の教育・運営にもご協力いただける機会がありましたら、私どもスタッフとしてはこんなに嬉しいことはありません。どうぞよろしくお願いいたします。

 残念ながら今回は不合格であった皆さんは、まずは冷静になって、何が合格に至らなかった要因であったのかを客観的に分析してください。次の司法試験はすぐにやって来ますから、迅速な対応が大切です。本法科大学院でも、昨年度から、修了生向けのサポートを一層充実させるいくつかの取組みを始めています。これらを活用して、来年度こそは目的を達成されるよう、期待しております。

2021年1月20日

北海道大学法科大学院長  城下 裕二