司法試験合格発表に際して法科大学院長からのメッセージ

 今年度の司法試験に合格した皆さん、おめでとうございます。心からお祝いを申し上げます。

 今年は、修了生だけでなく、在学中受験の制度が始まった年ですので、在学生にも合格された方々がおいでです。皆さんの健闘を讃えたいと思います。

 合格された皆さんは、いよいよ来年4月から司法修習がはじまり、法曹としての一歩を歩みだすことになります。グローバル化、温暖化、デジタル化、高齢化、少子化、多様化、縮小化、そして戦争。社会は多くの新しい課題に直面していますので、皆さんも、法曹として、これまで見たこともない事案、予想もしなかった新しい難問に直面することがでてくると思います。法科大学院で身につけた基礎知識とスキル、さらに法科大学院で得た同志の友人たちとの絆を駆使して、社会正義の実現に貢献できる、創造力のある法的解決をできる法曹になっていただきたいと祈念しております。

 また、在学中受験をして合格された皆さんは、修了までの残された期間に、そのような基礎知識とスキルの修得に一層力を注いでいただきたいと思います。

 これは皆さんへのお願いですが、皆さんの司法試験受験にあたっての経験をぜひ来年以降に受験する方々にも伝えてあげて下さい。彼らにとって貴重な財産になると思います。そして近い将来、皆さんに本法科大学院の教育に関わっていただける機会がありましたら、こんなに嬉しいことはありません。

 最後に、残念ながら今年度は不合格であった皆さんは、まずは冷静になって、合格に至らなかった要因は何であったのかを客観的に分析していただければと思います。在学生の方は、まだまだ授業を通してお伝えしたいことがあります。修了生の方も、法科大学院として支援を行っていきますので、どうか存分に活用をしていただきたいと思います。そして、来年度こそは見事に目的を達成されるよう、期待しております。

2023年11月8日

北海道大学法科大学院長 曽野裕夫