公開シンポジウム「『国民の司法参加』の過去・現在・未来-陪審・参審・裁判員制度をめぐって-」

三谷太一郎●成蹊大学法学部教授
佐藤博史●東京第二弁護士会弁護士
白取祐司●本研究科教授
ほか

●主催:高等法政教育研究センター

 

報告

 現在急ピッチで進行している司法制度改革の重要テーマの1つである「国民の司法参加」、より具体的には刑事司法における「裁判員制度」の導入に関し、従来の「陪審か参審か」をめぐる不毛な対立に距離をとり、そもそも司法手続きに「国民」が参加するとはどういうことなのかを根源的に考え直すことを狙って、本シンポジウムを企画、開催した。
 いずれもこの問題につき注目される発言を続けている方にパネリストをお願いしたが、政治史、弁護士実務、刑事訴訟法学、裁判官実務というパネリストおよびコメンテーターの異なる関心とバックグラウンドが相補して、アカデミックかつインフォーマティブな議論を展開することができたように思われる。司法権力の政治的正統性の担保としての市民参加という外的視点の提示から、実際の法廷における法的推論の内在的分析に基づく市民参加の意味と意義の解明に至るまで、様々な議論が交錯し、司会者としても大いに刺激を受けた。(尾崎一郎記)