公開研究会「自治体改革の検証」Part1 グローバル化と地方改革

公開研究会「自治体改革の検証」Part1   
    グローバル化と地方改革

無党派知事の先駆けとして岩手県政の舞台に登場して以来、
常に全国の注目を浴びながら、新しい政策に取り組む増田知事。
岩手県の行財政改革について、道州制に対する問題提起や
知事自らの発案でスタートした公会計改革、一括移譲制度などを中心にご紹介頂きます。

【第1部】 <基調講演>  増田寛也●岩手県知事 

テーマ
 「地方自治体改革と県のあり方」
     
【第2部】 質疑応答  
 
コメンテーター
 宮脇淳●北海道大学教授
 
司会
 山口二郎●高等研センター長
     
◆日 時:2002年9月11日(水)13:30~15:30(開場13:00)
 
◆会 場:北海道大学百年記念会館
     札幌市北区北9条西5丁目(北大正門より入り右手)
 
◆問合せ:北海道大学法学部 電話011-706-3119
 
※入場無料、参加ご希望の方は直接会場へお越し下さい。
※自家用車は学内に乗り入れできませんのでご了承下さい。

 

報告

 9月11日、道州制も視野に入れた北東北三県の連携強化、市町村への県資源の移転など地方自治体改革に積極的に取り組んでいる増田岩手県知事を招聘し、21世紀の地方自治を考えるため重要な視点となるグローバリズム(globalism)とリージョナリズム(regionalism)の関係、そして地方自治体改革の方向性について検討した。

 研究会冒頭、増田知事より約1時間にわたり岩手県の改革への取り組みについて紹介があった。岩手県においては、第一に、地域振興局を中心に市町村との連携を強化し、県の人的、財政的資源を積極的に市町村に再配分することで基礎自治体の強化に県自ら努めていること、第二に、予算編成等に投入してきた資源の見直しを行い、財政、総務関係部局の廃止も含めた見直しを通じて岩手県職員の行動様式と意識改革に取り組んでいること、第三に、道州制等も視野に入れながら県のあり方と機能について徹底して検討していること、県組織が必然的な存在ではなく、将来的には複数の県が連携を強化し県相互の合併等も視野に入れた地域戦略が必要なこと、などについて指摘があった。

 以上の岩手県の取り組みに対して、市町村への資源移転の取り組みにおいて市町村合併の問題をどう位置づけているか、県の機能の見直しや県の合併、道州制への移行と基礎自治体たる市町村の機能を如何に関係づけて考えているか、地域振興局を通じた市町村との連携はどの程度有効に機能していると評価しているか、経済特区構想について如何に評価し活用しようとしているか、岩手県では公共事業に対する評価制度において点数化のスキームを導入しているが点数化の方法は如何なる内容か、そして議会との関係等について質問があり討議を行った。

 同じ農業を基幹産業としており、寒冷地でもある岩手県の地域戦略や行政改革の取り組みは、北海道の地域戦略等に対しても多くの示唆を与えるものであると同時に、地方分権におけるリージョン政府のあり方について方向性を提示する研究会となった。

(宮脇 淳)