シンポジウム 「競争秩序法の再検討―実定法学のクロスロード―(仮)」
「競争秩序への多元的アプローチ
―実定法学のクロスロード―」(仮)
日 時: 2004年10月2日(土)
場 所: 北海道大学人文社会科学総合教育研究棟(W棟)301号室
趣 旨
競争秩序の実現に向けては、いわゆる経済法にとどまらず、民事法や刑事法といった多元的な実定法ツールが存在する。その意味で競争秩序法は、異なる実定法分野が交錯する「実定法学のクロスロード」の1つと位置づけることができる。本シンポジウムは、このクロスロードで邂逅する異なる実定法分野による「バザール(市場(いちば))」の試みである。すなわち、直接的には①競争秩序の実現に向けた多元的なツールの相互関係の検討と②各実定法分野における競争秩序概念(ないし公正競争概念)の異同の検討を行うことを目的とする。しかし、最終的には、①②の検討の成果を各実定法分野に持ち帰り、今後の概念の再編作業あるいは意識的な差異化戦略のための基盤となることをめざすものである。
科研基盤研究Aとの関係
科学研究費補助金基盤研究A「溶解する法システムの21世紀的統合に向けた法戦略―行政・市場・生活の比較研究」(研究代表者:吉田克己)では、その共同研究の一環として2002年度以来、現代社会を構成する「経済=市場」というサブシステムの内的変化と外部変容(相互関係の変化)を、実定法学という実証的な観点から、構造的・総合的に把握する作業をすすめてきた。最終的には、溶解・再編されつつある「政治=行政」「経済=市場」「生活=消費」という3つのサブシステムの21世紀的な編成枠組みを理論化し、そのなかで法が果たすべき役割についての法戦略を見出すことをめざしている。本シンポジウムはその共同研究の中間時点において、これまでの研究成果を検証するとともに、研究会メンバー外からのインプットを得ることによって、今後の共同研究の方向性をさぐり、基盤を築くことを目的とするものである。
報告一覧
(報告タイトルはいずれも仮題。敬称略。*印は科研メンバー。)
◆司会:稗貫俊文*(北大・経済法)・池田清治*(北大・民法)
◆議論促進者(animateur):厚谷襄児(帝京大学・経済法)
午前の部 総論
10:00~10:05 開会の挨拶
10:05~10:35 報告①(30分)森平明彦(高千穂大学・経済法)
「経済法と私法」
10:35~11:05 報告②(30分)長谷川晃*(北大・法哲学)
「法と市場の間」
11:05~11:20 コメント①(15分)田村善之*(北大・知財法)
11:20~12:00 討論(40分)
12:00~13:30 昼食
午後の部 各論
13:30~14:00 報告③(30分)吉田克己*(北大・民法)
「競争法と民法」
14:00~14:30 報告④(30分)曽野裕夫*(北大・民法)
「コモンローの競争法的機能」
14:30~15:00 報告⑤(30分)伊東研祐(慶応義塾大学・刑法)
「保護法益としての競争秩序」
15:00~15:15 休憩
15:15~15:30 コメント②(15分)藤岡康宏(早稲田大学・民法)
15:30~15:45 コメント③(15分)潮見佳男*(京都大学・民法)
15:45~16:00 コメント④(15分)和田俊憲(北大・刑法)
16:00~17:00 討論(60分)
17:00~17:15 総括 吉田克己*(北大)
●主催: 科研基盤A「溶解する法システムの21世紀的統合に向けた法戦略―行政・市場・生活の比較研究」
●共催: 北海道大学高等法政教育研究センター・北海道大学法学部法理論研究会