連続シンポジウム「どこへいく日本の民主主義Part 2」 「自民党に明日はあるか」

田中真紀子●衆議院議員
中谷元●衆議院議員

主催:高等法政教育研究センター

山口二郎センター長あいさつ

 みなさん今晩は、金曜日の夕方という大変に忙しい時間にもかかわらずかくもこんなに大勢来て頂きましてありがとうございます。ちょっと遅れましたが、ただいまから公開シンポジウム「どこへいく、日本の民主主義Part2 自民党に明日はあるか?」を開催いたします。私は、主催いたします高等法政教育研究センター長の山口でございます。今回、私どもセンターで日本の政治を考えるという連続シンポジウムを企画致しまして、その第1弾は7月に衆議員選挙の直後、田中秀征さんと石川真澄さんをお招きして「政治を斬る」といたしまして比較的いまの自民党政治に対して厳しい分析と批判を行なったわけですが、次は当事者の自民党の中で改革を進めている若者の主張を直に聞いてみようということで、今回の機会を設定致しました。田中真紀子さん、中谷元さんという「自民党の明日を創る会」の中心的なメンバーであるお二人に来て頂いてこれから講演と討論を行ないたいと思います。実は、私は何処で田中さんと知り合いになったかというと、今年の5月に自民党の政調会の部会で田中さんたちが今行なっている議員立法に関連して少し話をしてほしいということで、機会があったら一度大学の方へお出でくださいとお願いしたところ、ご快諾を頂いたということであります。その時に、6月の総選挙の直前ということでありまして私が政調会で話したときに参加された議員さんの数が少なくて、田中さんが「せっかくお出でになったのに議員の数も少なくてすみませんね」と仰って頂いて、私が「選挙の前だからしょうがないですよ」と言ったら、「学者がそんなことを言ったらだめですよ」と怒られて、それ以来、たいへん見識のある方だと私も尊敬をしていたところであります。
 今日の進行なのですけれども、前半お二人の方から各々30分ずつ基調講演を頂きまして、間に5分ほど休憩を入れまして後半私と3人でパネルディスカッションを行なうという形で進めてまいりたいと思います。いつものことですが、講演の途中は携帯電話等の電源を切っていただくということと、一般の来場者の方々には写真撮影をご遠慮頂きたいと思います。

 お話頂く前に、お二人の講師について簡単にご紹介しておきたいと思います。まず最初にご講演頂く中谷元さんは、1957年に高知県のお生まれでありまして、防衛大学校を卒業後防衛庁などを経て、90年衆議員初当選、以来当選4回で現在は自治省の総括政務次官としてご活躍でございます。田中真紀子さんは1944年、東京都にお生まれで、早稲田大学をご卒業後、1993年の衆議員選挙で初当選を果され、94年には村山内閣で科学技術庁長官を務められまして、その後のご活躍はみなさまもご承知の通りであります。

 さっそくお二方から今の自民党政治について内側からの様々な批判や提言などを伺いたいと思います。

 

 

第2部 シンポジウム

パネリスト      田中真紀子 氏

           中谷 元 氏

コーディネーター   山口 二郎

◆山口 それでは第2部のパネルディスカッションに入りたいと思います。前半、面白い話をたくさん聞かせて頂きまして、それに対する質問といいますか、今回は時間の関係でフロアの方からはご質問を取るということはいたしませんが、皆さんの代わりに私がいろいろと聞きたいことを伺ってですね、今後の自民党の変革といいましょうか、改革の可能性について考えるということで進めてまいりたいと思います。まず、いまの中谷、田中両議員が参加しておられます「自民党の明日を創る会」というのがありまして、これが党内の若手の改革派ということで注目を浴びているのですが、この人たちは要するにいまの自民党の何がいちばん問題で、自民党をどういうふうに変えたいのかということを端的に少し伺ってみようと思います。今から6、7年前はじつは政治改革というある種の流行がありまして、その時には中谷さんたちより少し上の世代の議員さんが改革派ということで脚光を浴びたのですが、その後終わって見ればなんかいま、何をやっているか分からないと、普通の代議士に戻ってしまったのかなという感じがありまして、そういう人たちとどこが違うのかとちょっと伺ってみたいと思います。まず、中谷さんから、いまの自民党、端的に言って、どこが問題なのか。

中谷 私は議員生活10年になりまして、自民党が単独政権の時代、そして野党の時代、「自社さ」のとき、そしていまの「自公保」を経験しておりますけれど、やはり単独政権の時代は政治の疲労でひじょうに政官財癒着型でよくなかったと思います。野党の時代はひじょうに危機感に苛まれて自民党が野党というほど迫力のあるものはなくて9ヶ月ぐらいで交代しました。私は本当の意味で野党を経験して良かったと思っていますね。やはり、人の痛みや足らざるところを知ったと。その後、自社さ政権になりましたけれども、これもひじょうに良かったと思っています。自民党がアクセル役で社会党がブレーキでさきがけがクラッチで、よくバタフライ政権と言われましたが、右のウイングと左のウイングと胴体がありました。このときに私は議論をよくしました。そのプロセスもよく公開されて、ひじょうに戦後の50年目の政権として村山政権はひじょうに良かったと思います。自公保になってこの議論がぴたっと止まったと思います。党内でも議論が少なくなって、自民党と公明党が合意をすればそれが政治の決定だとなってしまって、野党といっても民主党がおりますけれども、民主党も参加できていない。また自民党の政治に参加したい人たちも、党内で議論しても何か空しさを感じるわけです。そういう意味では、現状においては党内で意見が言いにくい、また欲求が発散できない。そういうイライラ感を感じています。

 

◆山口 それでは、田中さんに同じことを伺いますけれども、野中幹事長とか亀井政調会長など、いわゆる党の幹部に向かってひじょうにびしびしと鋭い舌鋒で批判をされるわけですけれども、最近の週刊誌などを見ますと評論家としてはいいんだけれど、では政治家としては何を代わりにやるのかというのが見えてこないという批判も出ているわけなのですけれども、自民党のどこをどういうふうに変えていくのかということを、さっきのお話の続きで結構なのですが少しお願いしたいと思います。

 

田中 舌鋒鋭い山口先生からそういうふうに仰られると私としてはますますと引っ込み思案になるところですけれども、感じているところを申し上げさせて頂ければ、自民党というか連立だからやむを得ないのかと初めは思っておりましたけれども、意思決定のプロセスが極めて不透明である。それから政策の提案の仕方がひじょうに唐突である。十二分に私たち国会議員が納得のいくような議論がされていない。それが上からトップダウンで降りてくる。私たちは10数万人の方たちから議員内閣制ですから投票して頂いているのです。厳しい選挙で、ほんとうに一生懸命私ども以上に投票する方たちもたいした候補もない中で選んでくれているわけですよ。その方たちが全員国会に行ければいいのですが行けないわけですよ。そこで私たちがみなさまから附託されているのは何かというものをしっかり我々国会議員は認識しなければいけない。国会は永田町の中だけではないのです。政党だけとかましてや派閥、私は派閥に入っておりません。そういう次元で内向きな議論をするということは、先ほど来言ったように価値観が多様化して先行きがないような、羅針盤がないような船に乗っている国民のみなさまに対して申し訳ないし、自分が納得のいかないものが、どうして有権者の方に説明ができるのですか。ですからして頂きたい。それが私のいちばんの不満でございまして、けっして評論家的でも何でもありません。これで、こうしたほうがいいなと言えるなら天下取ってしまいますから。

 

山口 それでは少し政策的なテーマというところに話を進めてみたいと思います。お二人から21世紀を迎えていろいろな難問があって、政治は先送りしているというようなご指摘があったわけですけれども具体的にいまの若手で党内で改革をしていこうという人たちの中で、政策的な方向性みたいなものを議論して共有していこうというようなことがあるのでしょうか。例えば、先ほど出てきた財政再建の話ですとか経済構造の話とかいろいろあると思うのですが、その辺如何でしょうか。

 

中谷 心配している人は多いと思うのですが、なにぶん先ほど話したように予算にしても政策にしても上のほうで決まってしまって意見を言う機会が少ないですね。昔は各部会で充分時間をかけて、それこそ大議論ができたのですけれども、いまひじょうに静かです。私たち若手がもっともっとがんばって勇気を持ってやっていかないかなければいけないと痛感しておりますが、先ほどお話したように、ミッドウェーを過ぎガダルカナルを過ぎ、ここで方向転換しないと沈没してしまうという時期に来ておりますので、この点においてももっともっと同志を募ってがんばらなければいけないという気持ちでいっぱいです。

 

田中 私たちのグループは数10人ですけれども、その中のコンセンサスになりますのは、とにかく今の内閣、その前の内閣がやっておられたように景気回復だけをやればいいと言って、どんどん国債を出して我々未来の、さきほど中谷先生が子や孫のキュッシュカードをむだんで使うと仰られていましたけど、まさしくそういうことをやって次の世代に先送りをするということではなくて、それと共に財政構造改革もやらなければいけない。そういう痛みを持ちながらやろうではないかというのが私たちの基本的な認識です。まず、経済問題があります。これは私が考えたことですけれども、国の地方と中央において450万人をこえる国家公務員がいるのです。国会議員もそうです。我々を含めてリストラをする。無駄をやめること。道庁もみなさまの町も役場も優秀な人がいますか、9時から5時まで自由に働いてくれていて税金が使われていて納得いくような人ばかりいるでしょうか。ましてや今後、ITだそうですからどんどん中抜きが起こって産業もそうですけれども、人もよほどのスペシャリストでないと残らない時代が来ているのですよ。いま現在がそうですから。仕事に見通しも立たずに、ただ国家公務員だとバッジ付けているんだったら、まずその数を削減する。国会議員は衆参で700人もいるのです。私は衆議員では300人、参議院は200人でいいと思っています。ちょうど引き算をしますとちょうど参議院の分だけいなくなるのです。1院制で結構、参議院やめろというから参議院議員が怒るわけでございまして、まだ愛する夫も参議院で言われておりますので参議院で闘っておりますけれども、従って私はそれぐらいの数をばっと減らすと。250人トータルで減るのですね。それぐらいのことをする。それから国税と地方税の組替えをやる。これは地方分権の問題もありますけれど、こういうことを確実にやることなんですよ。いま行財政改革といいながら橋本内閣の頃から省庁再編でありますとか選挙制度を変えるとかいろんなことをやっていますが、どうも違う方から時間かけて押してきているなと思いますね。心臓部分からできることからやるべきです。問題はそれを分析できていない議員がいるということと、もう1つはそれをやれるだけの人たちがその地位にいないということです。ですから舌鋒鋭いと仰っていましたが私は誰に対しても言っているのではありません。総理大臣とか官房長官とか大臣など権限のある人たちは義務もあるわけですから私どもぺいぺい議員には何も権限がないんですよ。そういう権限のある人に対しては直言をさせていただいています。当然の義務だと思います。

 

山口 そういう難しい問題を考えていくときに、政治家の役割、あるいは国民有権者との関係が大きく変わっていく時代だろうと思います。先ほど中谷さんはご講演のなかで要求過剰の民主主義という問題を指摘されまして、要するにどうやってをこれからみんなで我慢をしたり負担をしたりして国全体の共通の課題を解いていくかという難しい時代に入っていくのだと。環境問題も財政も社会保障も全部そういう側面がある。確かに私もそう思います。他方、例えば自民党だけでなくもちろん野党も含めてですけれど、後援会をがっしりつくっていろんな団体からたくさん陳情を聞いて、地域に対して道路や橋など北海道の場合で言えばは新幹線とかホジョウ整備とかいろんなタイプの約束をして農水省や建設省からとってきてという代議士が、とくに自民党にはたくさんいて、この北海道にもそういう方がずいぶん勢力を張っているという現実があるわけですね。そういうふうに考えていくと仰った理念を実現していくことを進めていくと、自民党にとって相当強い跳ね返りといいましょうか、自民党が自民党でなくなるのではないかというところまで来ているのではないかというふうに思うのですけれど、中谷さんご自身で、もちろん選挙区で動くときにはいろんな人の願いを聞いてお世話もしなければいけないし、地域のためにお金を使うということは当然どこの国の政治にもあるわけですけれども、さきほど仰ったことを具体的に進めていくなかで、そこのジレンマ、矛盾というのをどうやってこれから解決されていこうというのか、もう少し補足して頂きたいのですが。

 

中谷 時代がほんとうに変わったと思います。ここに来て思いついたのですけれど、自民党とかけて北大のポプラの木と説く。その心は古くなって倒れそうで倒れてないと。まだ生き残っているんですね。何故かというと、選挙で当選ができているということなのですが、やはり民意と共に進む政治ということで、今までは要求があったら応えることができました。つい10年前も「ふるさと創生一億円」ということで各自治体にばら撒いておりましたけれども、それは今では遠い夢でしてね。むしろ、太平洋戦争の時もそうなんですけれど政治家がいかに国民の暴走、要求を押さえることができるかということが問われるわけであって、昭和のときも不況で大変でしたけれども国民の声に押されて戦争に突入しました。東条英樹さん、天皇陛下があのときどう判断したかということは歴史の検証によるわけですけれども、そういう風潮があって一億国民一丸となってというムードが日本を破綻に導いたのではないかと思います。それと似た現象が国民の物質的な欲望に歯止めをかけることができるかという大きな日本全体の課題でありまして、これからまさに政治家に求められることは説明責任ということで、今までは誤魔化したり、足して2で割ったりして通用してきましたけれども、今からはそういう説明をして国民のみなさんにタックスペイヤーとしてその負担と給付の関係を考えてもらうことができる政治家がいい政治家であって、ここまでの状況を自民党はつくってきたわけですから、その罪滅ぼしとして自民党が責任をもってそういう政治の方向に転換するということが必要でございます。この古いポプラの木を植え替えてですね、新しい木をもった自由民主党、いま、自民党の新陳代謝というものがたいへん大きな党内問題となっております。自民党では、立派な新人がいても現職の人がいるかぎり公認してもらえないのです。また、無所属で通った人も自民党に入ることを阻止されております。昔の自民党なら、中選挙区では実力本位ですから通ってきた人が民意を受けた立派な政治家だということでどんどん新陳代謝が進みましたし、日本の総理大臣も変わって新陳代謝もできておりましたけれども、いまはそういうこともできていないということで、たいへん危ないなという気がしております。

 

山口 私も戦後の日本の政治を振り返っておりまして、田中真紀子さんのお父上の田中角栄さんが総理大臣になられたのはたいへん幸運な時代だったと思うのですね。あの時代の高度成長、経済がどんどん発展して富がどんどん増えていく。その時代に田中角栄という政治家はほんとうに働き場所を得て国土をどんどんつくりかえていって都市と農村の格差をなくすというのか、あるいは何処にいても一定の豊かな生活ができるという基盤をつくっていくという方向を目指していて、それはたぶん越後から東京に出て行って政治を志した田中さんの思いは、もうすでに相当実現されていると思うわけですね。いまの時代はまったくガラリと様相が変わっていて、かつてのような成長とか発展という夢を追えないというたいへん厳しい環境の中で、お二人の方も先ほどから指摘されているような、どっちかというと国民と共に苦しみを分かち合うみたいなタイプの話題が多いわけですけれど、その点で田中さんは、今後の政治家と国民との関係についてどういうふうにお考えでしょうか。

 

田中 私たちが政治家で永田町で感じている以上に、生活者のみなさまが全国で鬱屈した思いといいますか、政治に対する失望感を持っていらっしゃるということを切実に感じています。先ほど先生がお尋ねですけれど、自民党のどこがということですけれど、私はダイナニズム、活力だと思います。常に時代の転換点に立ったときに自民党の議員は何処かで誰かが必ず方向転換させる時代の風を受けて大きく舵をきるような動きを起こす人たちがいたんです。いまの野党にももちろん人材はいると思います。ですけれども、一定の宗教団体の母体のもとで動くとか、一定のイデオロギーのもとで動くとか、あるいは民主党さんのように人材はいますけれども極端な右と極端な左なんですね、ごった煮のような状態で一緒にいて、世代もですよ、ほんとうに何処にコンセンサスや合意があるのかと思うような、木と竹を接ぐと言ったら申し訳ないですが、そういうような政党に比べて自民党のボロ、悪さいっぱい引きずってますよ。ですけれどもどっかで活力が生まれるのです。それは今、私たちであると思っています。ですからそのことによって、あなたたちは天下を取らなくていいのか、こうなのか、ああなのか、単なるガス抜き、ガス抜きであっても私たちが自民党員として必死でこの日本のみなさまの声を吸いあげて時代の風を受けてハンドルをきろうとしているのですから、それは与党に中にあって、責任政党の中にあって生まれてきているのです。このダイナニズムが自民党の中から消えていないということは、私は誇りに思っていますし、そのことをいま幹部にいる方々にはもっと分かって頂きたい。こう思います。何かよく言われるのですね。先生、父のことを言ってくださいましたけれども、よく党の幹部や派閥の親父さんたちが、私が口達者で言いますとね、「田中角栄が生きていれば」とか、「あんたがたみたいな若手のわけのわからないやつがこんなことしないでいれば自民党はよくなる」と「いれば、いれば」というから、私は「いれば」をやるのは歯医者でいい、政治家は余計なことを言うなと。すみません。

 

山口 それで政策的な話の中身と並んで、いまいろいろと21世紀の日本という国の形について議論をする。具体的に言えば憲法の問題とか教育の問題とか盛んに議論が行なわれているところなんですが、いまの自民党の若手のみなさんがたが憲法を中心としたような基本的な争点といいますか、課題についてどういうような考えを持っているのか共通したゴールというものがあるのか、あるいはその辺で個人個人感覚が違うのか、先ほど中谷さんはとくに平和の問題などについて戦後の日本の今までのあり方について根本的に再検討しようという問題提起をなされましたが、そういった国の基本に関わる問題についてですね、どういうような議論があるのかということを少し教えて頂きたいと思いますが。如何でしょうか。

 

中谷 共通した認識といたしましてはひじょうに曖昧な文章や表現のなかにたって法律が組みたてられている。とくに曖昧というのは国のいちばん大事な根幹部分のことがあやふやに書かれているということでありまして、その中でいちばん顕著なのが安全保障という意味でございます。ひとことで言いますと、この安全保障につきましては温泉旅館の建て増しという感じで、昭和20年代の政治状況としては憲法で良かったかもしれませんが、それから30年代、40年代に高度成長して日本の国というものがひじょうに大きくなったという現象が起こっています。小さい国ならあれで良かったかもしれませんが、世界の大国として立派に成長した現状において、あの時代の憲法にもうあてはまらないような事態が起こっているということで、温泉旅館の建て増しをやめて、きちっと安心して泊まれる立派な骨組みをつくって、そこで分かりやすくいろんな問題を部屋ごとに整理しましょうというのが共通の認識です。

 

◆山口 田中さんは、その点いかがですか。

 

田中 けっこう定期的にグループで意見の交換をしておりますけれど、基本認識として、まず財政関係で言いますと、経済関係の分野で言いますと財政だけを刺激しても駄目なのであって、やはり金融が再生しなければならない。そのためのどうするかということの認識は共通していると思います。それから社会保障制度につきましても、先ほど言いましたけど、やはり個人に着目をしていくような制度を採らなければなりません。これは容易ではありません。いまも医療年金、高齢者医療ですね、みなさま感心がおありになると思いますけれど。介護保険料にしてもそうですが、かなり根本的に変えていかなければならないという意識を持っています。国防につきましては、いま中谷先生が仰った通りでして、これに関連して憲法問題も私たちグループ全員のコンセンサスではありませんけども、基本的には6、7人で言っているのは、憲法の問題についてアメリカの押付けであるからということだけだはなくて時代に合った法律に変えていこうと。第9条も含めてですね。そういう議論はけっこう活発にいたしております。その他、教育問題とか環境問題などいろいろありますので、私も下の子供がいま大学3年生でございますから、けっこう3人を育て終わっているほうですけれども、他の先生方は子育て真っ最中みたいな方が多いので、女性の役割とか、アトピーがどうだとか、遺伝子組替え食品がどうだとか、男女別姓問題とか、そういうことについては各々考えが違っておりますけれども、環境問題でも私などが考えますのは宇宙のスペースデブリというゴミもあるし、産廃もあるし、生活ゴミもあるしということについて、我々女性の視点ですごく思っているのに、意外に男性の方は、朝役所に行く時にやっているかどうか分かりませんが、玄関のゴミ袋持って「いってきまーす」とその辺に置いてくると、みなさんやっているのではないですか。それで役が終わったと思っているのでしょうけど、女性の視点はなかなか男性議員にはないですね。その辺で生活とか子育ての話になると齟齬があります。そういうふうなことで、申し合わせたわけでないのに共通認識があります。けっして年代ではなくて、先輩でベテランの議員さんのなかでも自民党の中に私たちと同じ考えの方がいらっしゃる、それはとても有難いことだと思っています。自民党だけではなくて、他の党の方たちとも気の会った方たちと勉強会をやっているのですけれど、いろんな方がおられてきわめて似た考え方を持っていてなんで違う政党にいるんだと思うと、「だって自民党が邪魔していたから僕は入れなかった」とか、支援団体がああだの、こうだの、いろんなことを言ってますよ。もっと胸襟を開いて同じ日本人なのですし、せっかく議員になって、いい日本にしたいと思って青雲の志がありますから、ともにみんなが、あまり細かい枠に拘らずに、マスコミがつべこべ言わなければいいのですから、気にしないで討論をする。要するにアカンタベリティーですよね。そしてよく見えるかたちに、情報開示をしながら責任を持って私たちが納税者の皆さんに分かるかたちで政策を投げていくということは共通認識であります。

 

山口 今日はいたって真面目な企画で、政治の理念とか政策を中心にお話を伺ってきたのですが、せっかくこういう格好で、最近の話題の主というか、しょっちゅう週刊誌に登場している方が来ると、ある程度政局の話も触れざるを得ないと、別に新聞社がいるからと気になさるかもしれませんけれど、やはり政党再編みたいな話が週刊誌の見出しに踊っているのですけれど、それについてはどの程度ほんとうなのですか。

 

田中 北大の先生が週刊誌の代表のようなアルバイトをしないでください。ノーコメントでございます。

 

山口 それは、いまは政局がなぎの状態で、選挙を終わったばっかりだし、なかなか森政権も動きそうもないしということで、いろいろと見出しをつくって何か動きをつくろうという政治ジャーナリズムの事情で田中さんをちょっと利用しているという面があるだろうということでホローしておきます。あとは、世代の問題ということを仰って、他の党にも似たような感覚の人がいっぱいいると仰ったわけで、政局の話にもつながるのですが、根本的に日本の政治を再編成していくときに、既成の党派を超えて同じような感覚を持った人が集まっていくという展開を期待する人は当然多いと思うのですけれ