公開シンポジウム「<体制改革としての司法改革>を考える」

井上達夫●東京大学大学院法学政治学研究科教授/本センター研究員
河合幹雄●桐蔭横浜大学法学部助教授
川本隆史●東北大学大学院文学研究科教授/本センター研究員
ほか

●主催:高等法政教育研究センター

 

報告

 「<体制改革としての司法改革>を考える」と題したこのシンポジウムでは、21世紀の日本社会にとって現今の司法改革が持つ価値をめぐって、法的意義にとどまらず、広く社会的・政治的、あるいは倫理的な意義を考察した。眼前の司法改革は、それが適切な形で行われるならば、「法の支配」がいっそう浸透し、従来の権威主義的あるいは集団主義的な社会・文化構造をより市民的な形へと変容させてゆく可能性を秘めている。それだからこそ、ここでは単に表面的な法律制度や法律学教育の再検討にとどまらない、いっそう幅広い視野からの議論や検討、そしてまた市民の監視が必要なはずである。本シンポジウムでの議論は、各パネリストによって、「法の支配」のあるべき理念と現今の改革動向への批判、大学教育における専門的知識と幅広い知識の涵養との必要性、日本社会における法の働き方の現実とその修正の可能性、そして市民の立場に立った政治改革の必要性との連携など、各自の専門領域である法哲学、法社会学、倫理学、そして政治学の観点からの議論が相互に交わされ、多くの聴衆と共に、多角的な議論と検討が行われた。