公開シンポジウム「迷走する小泉改革を正す」
<学術創成>ガバナンスシンポジウム・シリーズ
「迷走する小泉改革を正す」
9月末の内閣改造以来、迷走を続ける小泉政権の経済政策。
日本の泥沼はいつまでつづくのだろう。
小泉首相の盟友として辛口の助言を続けてきた秀征さんが、本物の改革を語ります。
【第1部】 基調講演 田中秀征●元経済企画庁長官
【第2部】 質疑応答
司会/山口二郎●高等研センター長
◆日 時: 2002年11月27日(水)18:00~20:30(開場17:30)
◆会 場: 北海道大学学術交流会館小講堂
札幌市北区北8条西5丁目(北大正門横)
◆問合せ: 北海道大学法学部 電話 011-706-3119
※入場無料、参加ご希望の方は直接会場へお越し下さい。
※自家用車は学内に乗り入れできませんのでご了承下さい。
レジュメ
高等法政教育研究センターシンポジウム
迷走する小泉改革を正す
田 中 秀 征
1)「総合デフレ対策」と小泉首相
①甘過ぎた経済認識と経済予測
②財務省のカルテと治療
2)小泉改革とは財政改革か?
①期待は統治構造の改革
②自民党出身の限界か?
行政改革への対応
3)民意は「政策決定構造」の一新
①統一補選、新潟・熊本市長選
②長野県知事選の意味
4)「新しい政治勢力」が待望
①民主党の行方
②外からの政権構想
報告
11月27日、学術交流会館小講堂において、田中秀征氏(元経済企画庁長官)が、「迷走する小泉改革を正す」と題して講演を行った。
田中氏は小泉政権の現状について、厳しい評価を下した。第1に、小泉政権には日本経済の現状に対する危機感が不足している。構造改革を唱えて政権が発足して1年半あまりの間、改革については見るべき成果は上がっていない。第2に、具体化した改革は、ほとんど財務省官僚の主導で進んでいる。つまり、狭い視点からの財政健全化に役立つ改革でしかない。また、特殊法人などの改革も器の変化に過ぎないものであり、行政や財政の構造をかえるところまでには至っていない。さらに田中氏は、今後の政治、政策の展望について次のように述べた。失われた十年といわれる経済の停滞は、冷戦構造の崩壊、中国や旧社会主義国の世界市場への参入という歴史的な大変動の結果もたらされたものである。旧来の体制による経済対策には限界があり、政策を立案、実行する体制自体に歴史的変革が必要とされている。そうした変革の起動力は今の永田町、霞ヶ関には存在しない。長野県に代表されるように、地方から新たな政治のモデルが形成されつつある。
会場には200人近い人が集まり、講演に引き続いて、白熱した質疑討論が行われた。
感想
●非常に深い内容で、大変感銘いたしました。感動! (札幌市)
●田中・山口先生の話に賛成です。マックス・ウェーバーも同じような話を言ってました。政権を取ったら官僚組織を破壊して立て直す事が必要です。(札幌市・72歳)
●今日的政治の問題を解り易く表明してくれて種々考えさせられました。信賞必罰が明らかな世の中が出現すればと考えます。歴史と伝統のある北大は、他の大学の先鞭を切り、今後益々開かれた大学、民主化大学として、他の模範になるように市民・道民に呼びかけてほしい。(札幌市・年金生活者)
●田中秀征さんの深い洞察力、鋭い分析、幅広い内容に感激しました。良い意味で頭の良い政治家、話して書ける政治家がまさに求められていると思います。そういう政治家が官僚機構をはじめ、中央と地方の関係など抜本的なことを変えていかなければ、世の中がよくならないと思います。(札幌市)
●今後の政局を考える上で有意義であった。(札幌市・地方公務員)
●新聞、ニュースではわからない政治のこと、時代の流れ、経済についてとてもわかりやすい話でした。また、未来へ希望のもてる政治の話もきけてよかったです。(石狩市、小学校教員)