「民法改正」に関する講演会

講師:加藤雅信氏(上智大学法科大学院教授)
コメンテーター:瀬川信久氏(北大法科大学院教授)
場所:北海道厚生年金会館(ウェルシティ札幌) 3F 清流の間
    (札幌市中央区北1条西12丁目)
時間:18:00~20:00
主催:(財)日弁連法務研究財団北海道支部
共催:北海道大学法学研究科附属高等法政教育研究センター

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報告

 去る11月24日に法制審議会の民法(債権法)部会の第1回会合が開催され、3年間の予定で契約法を中心とする民法(債権法)改正審議が始まった。本シンポジウムは、この時機に、民法改正に精力的に関与してこられた加藤雅信教授から、この間の動きと改正諸案津講演いただいたものである。
 加藤教授は、今回の動きを説明された後に、ご自身がまとめられれた「民法改正研究会案」を紹介され、改正のベースとして有力視されている「検討委員会案」につき、①規定内容を具体化しょうとするあまり、条文数を膨大にして分かりにくくしている、②契約法のみを突出させて関連する不当利得・事務管理等との関連を検討していない、③パンデクテン体系を壊し総則的な規定を軽視し、結局、民法典を「第2の会社法」にしてしまうと警告された。
 瀬川のコメントは、今回の改正を、①100年間の法律問題の変化、②ADR等における法使用者の多層化に伴う民法規範の社会的機能の多様化、③民法学者の世代交代と民法ドグマーティクの後退という観点からとらえたうえで、文言化のレベルでの用語の選択・洗練の重要性を述べた。
 個々の規定の質問のほか、今回の改正の性格について、質疑応答がなされた。聴衆は実務法曹を中心に百数十名と、大盛況であった。

瀬川 信久