講演会 「政権交代の心理と論理 有権者・若者・政治家の心理分析」

水島広子●精神科医・元民主党衆議院議員
会場:北海道大学人文社会科学総合教育研究棟 W301室
時間:18:00~20:30
主催:北海道大学法学研究科附属高等法政教育研究センター

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報告

 水島広子氏は、精神科医であると同時に、民主党の衆議院議員を二期務めた経験から、日本政治の現況について論じた。「怖れを手放す」心の姿勢を重視する「アティチューディナル・ヒーリング」というアプローチで治療の現場に立つ水島氏は、日本政治のなかで与野党ともに政治家たちに「怖れ」が浸透しつつあることに懸念を表明した。与党は、頼りなくみられることを怖れ、野党もまた、政権担当能力が不足しているかに見られることを怖れる故に、調整や協調よりも、攻撃と断定が政治の常態となっていく。二大政党制に接近し、勢力均衡がすすめばすすむほど、こうした傾向が強まってきたのである。討論では中島岳志氏が、1990年代なかばから同様の傾向が政治だけではなく人々の態度のなかで強まっていった経緯を指摘し、宮本はその社会構造的背景を検討した。フロアからもたくさんのコメント、質問が寄せられた。最後に小選挙区制の比例代表制への転換など、問題解決の方途について討論した。

20091116

宮本 太郎