平成12年度公開講座 ボランテア・NPOをめぐる「法と政治」

平成12年度法学研究科公開講座 ボランテア・NPOをめぐる「法と政治」

主催/北海道大学大学院法学研究科/附属高等法政教育研究センター

 1995年の阪神・淡路大震災に際して展開されたボランテア活動は今日なお記憶に新しいところですが、これを一つのきっかけとして、種種の(市民的)公益活動を制度的に組織化するという目的から、とくに簡易な法人格取得を中心とした法制の必要性が痛感され、市民活動団体との密接な連携のもとでの議員立法という(我が国立法史上も画期的な)経過をもって、三年前の1998年「特定非営利活動促進法」(通称NPO法)として成立したことは周知の通りです。

 そして今日、中央政府・行政による規制の緩和・撤廃を通じての「小さな政府」の実現、他方における(住民参加を主体とする)地方自治の充実・強化、そしてさらに民問営利企業を中心とする市場における公正な競争の活性化という、現代日本が迫られている三つの大きな歴史的課題とならんで、いわば官と企業に次ぐ第三の組織体(=本来の意味における「第三セクター」)としてのこれらNPOをはじめとする民間非営利組織とその活動が、質・量両面において健全かつ活発に育ち展開することの重要性は、日本における真に健全な「市民社会」の形成という政治的社会的意味においても、さらにまた、官や営利企業によってはその適正な供給・期待しえない社会的公共的価値・財の実現・供給という経済的意味においても、いくら強調しても、し過ぎることはないと考えられます。

 これらの社会的現実の急速な動きからしますと、その理論的研究の水準・蓄積は(少なくとも欧米先進国と比較して)非常に立ち後れていると言わざるを得ませんが、このような民間非営利組織の健全な発展に多大な理論的ないし実践的関心を抱き続けております私ども北大・大学院法学研究科のスタッフのうち下記六名の有志は、本公開講座を通じて、それぞれの関連領域での研究と思索の成果(質量ともに未だなお浅いものとはいえ)の一端を市民の皆様にお伝えすると同時に、市民の皆様とともに今後の課題とあるべき方向性について考え、それによってまた北海道におけるボランテア・NPO活動が今後一層活発に展開されるための一助になれば、と思う次第です。

開催概要

1.開講日程

第1回 平成12年8月28日(月) 現代政治の動向とボランテア・NPO
北海道大学大学院法学研究科 教授 田口晃(政治学)

第2回 平成12年8月31日(木) ボランテア活動をめぐる法制度的課題(とくに民事責任論ないし組織論的課題)
北海道大学大学院法学研究科 教授 東海林邦彦(民法)

第3回 平成12年9月4日(月) 官民分担ないし行・財政改革とボランテア・NPO
北海道大学大学院法学研究科 教授 宮脇淳(行・財政論)

第4回 平成12年9月7日(木) 社会保障・社会福祉とボランテア・NPO
北海道大学大学院法学研究科 助教授 倉田聡(社会保障法)

第5回 平成12年9月11日(月) 地方自治と市民活動
北海道大学大学院法学研究科 教授 神原勝(地方自治論)

第6回 平成12年9月14日(木) 環境保護とNPO
北海道大学大学院法学研究科 教授 亘理格(行政法)

2.実施会場

北海道大学文系共同講義棟5番教室(札幌市北区北9条西7丁目)

3.受講資格

18歳以上の方であれぱどなたでも受講できます。(学歴は間いません。)

4.定員

100名(定員を超えた場合は抽選になります。)

5.申込要領

(ア)申込期間

平成12年7月11日(火)から平成12年8月18日(金)(土曜日・日曜日及ぴ祝日を除く)
毎日午前9時から午後4時30分まで

(イ)申込場所

札幌市北区北9条西7丁目北海道大学法学研究科・法学部庶務掛

(ウ)申込手続

受講申込書(コビー可)に必要事項を記入のうえ、直接又は郵送でお申し込みください。
(受講者証は公開講座初日にお渡しします)

6.受講料

(ア)金額

6,500円

(イ)納付方法

公開講座初日の平成12年8月28日(月)に受付へ納めてください。
なお、納入された受講料はお返しできません。

7.修了証書

4回以上受講した方には、修了証書を授与します。

8.その他

この講座についての照会は、下記で取り扱っております。
 〒060-0809 札幌市北区北9条西7丁目
 北海道大学法学研究科・法学部庶務掛
 電話 011(706)3119(直通)

●申込場所及び実施会場略図

申込場所・実施会場
地下鉄「北12条駅」下車徒歩10分(約600m)
中央バス「北大正門前」下車徒歩5分(約300m)
JR札幌駅「北口」より徒歩13分(約800m)
※車での来学はご遠慮願います。