学生座談会―北海道大学法学部を語る―2018年

インデックス

志望理由、なぜ北大、法学部?

法学部にしたのはなぜ?

入学前後で感じたギャップについて

ゼミや授業について

アルバイト

進路、法学部で学んだことが、就職活動につながったか

高校生へのメッセージ

 

志望理由、なぜ北大、法学部?

吉田先生  では、北大を志望した理由から聞かせてください。

井津元  北大を選んだのは、高校2年の時に修学旅行で夏の北海道に来て、こんな素晴らしい土地が日本にあるのかと感動したこと。さらに、どうしても1人暮らしをしたかったので、出身の関西から遠くに住もうと思っていたことの2つです。その2つの理由から北大にしました。北海道に住めば旅行もたくさん出来ると考え、実際、結構旅行しています。

吉田先生  道内の2人の志望動機を教えてください。

野元  北海道民にとって北大はあこがれなんですよね。

逢見  「勉強して北大行きなさい」と、子どものころから刷り込まれているから(笑)・・、大学は北大しかないみたいな・・。

吉田先生  頭のいい人はみんな北大に行くとか・・。

小松  九州の九大もそうです。

吉田先生  じゃ、野元さんはいつ北大志望を決めたのか覚えてないくらいですか。

野元  そうですね、でも高校に入った時に志望校を書く欄があって、必ず北大は書くみたいな感じでした。

逢見  うちの高校から、北大は現役で10人に1人くらい。法学部ですと僕らの学年の時は3人でした。

吉田先生  やっぱり、周りの勉強できる人は当然北大に行くと・・・。

逢見  そうですね、僕より出来る人も北大に入ってますし。

吉田先生  はるばる九州から来た小松さんは?

小松  北海道なら絶対一人暮らしだろうと。親もなかなか来れないし、心おきなく一人暮らしが出来る(笑)というのと、北大は総合大学でひとつの大きなキャンパスに全学部そろっていてそれが良くて、しかも、駅前のこんな立地のいいところにある。でも北海道だから自然もいっぱいあって遊べるみたいな。そんな北海道で伸び伸び大学生活を送れたらいいなと思って北大を選びました。

吉田先生  そう思ったのは高校のいつ頃からですか。

小松  1年の秋頃までは志望大学は九大と書いていましたが、九大はそんなに楽しそうじゃないなと思い始め、どこかいい所はないかなと探して、北海道のほうが楽しそうだと思い、それ以降は北海道大学と書いてきました。

吉田先生  じゃ、東京とか関西の大学を考えたことは?

小松  北海道を落ちたら、その心を癒してくれるのは東京くらいしかないだろうと(笑)、私立は全部センター利用で東京に出願していました。

吉田先生  道外2人は固い決心で北大に来たんですね。周囲には北大志望はあまりいなかったのかな?

井津元  結果的に1浪して来た人はいますが、現役の時は亜流でした。

小松  北九州まで行って北大模試を受けても、私1人だけだった時もありましたね。すごい疎外感がありました(笑)。

吉田先生  確かに関西くらいまでは北大志望者は多いけれど、さすがに九州となると少ないですね。それで、法学部を志望した理由はなんですか?

法学部にしたのはなぜ?

小松  法のぬけ穴をさがそうと思って入りました。

吉田先生  法のぬけ穴をさがすには、法を知るのが一番ですからね。

小松  そうなんですよね、これからいつも縛られてばかりいるんだろうと思って、それなら法律に詳しくなれば少しは自由に生きる道が見つかるんじゃないかと思いました。

吉田先生  確かに法を詳しく知っていれば、そのギリギリを攻められるし、やらなくていいこともたくさんあるから・・。それで、どうでした。

小松  はたして、どうだったかと言われると微妙だったけれど、さまざまな犯罪事例のケースなどから、豆知識みたいなのは得られました(笑)。

吉田先生  卒業生が全員法律の専門家になる訳じゃないので、法のぬけ穴というアプローチも面白いですね。でも、実際に法のぬけ穴を見つけるには、相当に勉強しないとね。それでは、野元さんはどうですか。

野元  高校1年の段階から法学部に行きたいと思っていました。高校に入学したときに目標がないとダメになると思って、興味のあった法学部をまず目標設定として選びました。法学部に興味を持ったのは、私が高校受験の時、3つ上の姉が大学の志望欄に法学部と書いてあったのを見ていいなと思ったのが理由です。

吉田先生  家族の影響は大きいですよね。じゃ、

逢見  君は?

逢見  ずっと法曹になりたいと思っていました。小さいころから弁護士になりたかったんです。中学校の時とかの卒業文集に、5年後は北大法学部に進んで将来は弁護士として活躍しているなんて書いていたので、法学部以外はまったく考えていませんでした。ですから、(法曹を目指して法学部に入ったことについて)全然後悔してないです!

吉田先生  でも、弁護士は大変だよ(笑)。

逢見  実際にゼミとかで弁護士の方にお話を聞いても大変だとは思いました。ある学生が「休みの日は何をしてるんですか?」と弁護士さんに質問したら、「休みなんて無い!」ってボソッと言ってましたから(笑)。

吉田先生  でも、全法学部の2割くらいだよね、法曹志望は。

野元  周りが思っているより、意外と少ないですよね。クラスの自己紹介で(法曹めざすと)断言しているのは3人くらいです。その中で、だんだん淘汰される人もいますし・・。

吉田先生  それでは、

井津元  君は?

井津元  少しネガティブ過ぎる動機なんですが(笑)、センター利用も含め文学部で出していて、北大も最初は文学部を考えていたんです。でも、入試の科目選択で得意だった数学を生かせるのが法学部でした。受験に有利だったんで法学部でいいかなと、ちょっと消去法的な感じで選んじゃいましたね(笑)。そんな人もいますよね。

吉田先生  法曹になろうとは思わなかった?

井津元  入学した時に、法学部といえば法曹なのかなとは一瞬思いましたが、そもそも法律にあまり興味がないと思い至りました(笑)。

吉田先生  小松さんはどうですか、法曹は考えたことはありますか?

小松  収入は良いのかなって思いましたが(笑)、でもそんなに熱心に勉強する気もなかったので、絶対民間に就職した方が良いだろうって思いました。

吉田先生  就職活動の時に法学部というのはどうでした。小松さん、法学部で何を学んだのとかは、たまに聞かれました。ある総合商社では今年一人法務を採るんだけど、法律に進む気はないかとは聞かれましたね。

入学前後で感じたギャップについて

吉田先生  入学の前と後でのギャップとかは、感じたことはありましたか。

逢見  大学に入る前は他の学年との交流は少ないのかなと思っていましたが、サークルに入ってみて他学年とのかかわりも充実しているなぁと感じています。人とのつながりは思ったより充実しています。

吉田先生  野元さんは入学してまだ2ヶ月だけれども・・。

野元  意外とみんな勉強しないんだなぁって(笑)。周りの子も高校の時の方がずっと勉強してたなぁって言っています。

井津元  僕は大学生になったら、みんな遊んでるだろうなと思って入ったので、意外とみんなが勉強してるなーと思いました。1年生はともかく2年3年になると本当にガッツリ勉強してる人がいます。

吉田先生  法曹をめざす人は2年生くらいから本腰を入れますね。

逢見  そうですね、僕もそろそろ予備校の入門講座が始まってますね。

吉田先生  小松さんは入学前と後のギャップとかはどうでした。

小松  私の場合、もっと自由な時間があって遊べるのかと思っていたら、意外と単位取得など授業が忙しくて、勉強するんだなぁって思いました。特に、学部のテストは教養に比べきついです。

吉田先生  まあ、法学部は単位が難しいかも知れないですね。

小松  法学部はGPA(Grade Point Average)低過ぎですよね。

吉田先生  テストの話も出ましたが、実際の授業やゼミはどうですか。野元さんはまだ全学教育ですが。

ゼミや授業について

野元  専門では法学入門Ⅰや政治学等を受けていて、なかなか難しいですね。

小松  今の全学教育は、昔より総合的になってると思いますよ。

逢見  蛙学入門とか、集中講義の余市でのリンゴ狩とか、それはそれで楽しかったですね(笑)。落としたリンゴは食べなくちゃいけなくて、最初はいいけど3個4個以上となるとつらくなる(笑)。そして、2年になると全学教育の緩い感じと違って、ああ法律やってるって感じがして刺激的です。ゼミも行政法を取って大変だけど楽しいなと思っています。

井津元  法学部の授業は、出席するかしないかはもはや己しだいってところがありますね(笑)。でも自分から進んでとるゼミはみんな勉強するんですよ。しかも、結構頭のいい人も多いので学生間での議論でも示唆に富む意見交換がなされて、まったく勉強する気がなかった僕でも、ここは自分も頑張ろうという空間になり、ゼミは取っておいて良かったなと思っています。

吉田先生  小松さんは単位は終わりましたか?

小松  単位は取り終ったので、最近教養に趣味で行くんですよ。授業聞いて面白いなぁって思っています。

吉田先生  大学は勉強しようと思えばいくらでも出来る場所だと思います。メディアコミュニケーション研究院もあるから、外国語やりたい人はいくらでも通えるし。

小松  私行ってました、イタリア語1年半やっていました。

吉田先生  大学ではいろんな授業を受けることができ、著名な先生、マスコミによく顔出す先生なんかもいらっしゃることがあるし、いくらでも知的好奇心を満たせる場所です。ただ法学部は理系と違って、実習が少ないので単調になるような気がしますね。

小松  そこにゼミがあると、ちょっと気分が変わって楽しいですね。

吉田先生  フィールドワークをやっている先生もいるし、やっぱりゼミはアクセントですね。あとは先生との距離感ですが、どうですか?

逢見  行政法の米田先生のオフィスアワーは随時なんです。時間が決まっていると思っていましたが、事前にメールすればいつでもお会いできる。レジュメもいくらでも見て頂けました。国際法のゼミだけでなく、留学の相談などすごく開けた感じで本当にお世話になりました。

吉田先生  北大の法学部は同じ他の学部と比べても、学生1人あたりに対しての先生の割合が高く、70人くらい先生がいます。なかなかそういう大学は少なくて、学生と先生の距離が近いのが北大法学部の特長なんです。

アルバイト

吉田先生  大学の話だけじゃなく、アルバイトとかの話はどうですか。なにか面白いバイトやったことある人はいますか?

井津元  どうしてもって頼まれて、1日だけホストやったことあります(笑)。

吉田先生  アルバイトの王道は家庭教師と塾講師と飲食で、みんな一生懸命アルバイトしているのには関心します。

逢見  僕は1年生の5月から、ずっと塾講師をやって、今は週2回くらいです。

井津元  最初飲食をやって、その店がつぶれた後は塾講師をやってました。今は免許取ってバイクを買っちゃったのでガッツリ働いています。

小松  私は「ちゃんこダイニング若」にオープニングから潰れるまでいましたね(笑)。

逢見  自分も最近バイクを買いました。免許取ったので原付に乗って、暇な時に北の方へ行きます。

吉田先生  野元さんはなにかバイトしてますか。

野元  ひとまず家庭教師登録をして、今度実習を受けてから紹介される予定です。

吉田先生  (家庭教師は)受験勉強の知識を有効活用できますからね。受験勉強で得た知識って大学で使えた気がしますか?

井津元  塾で数ⅡBとか教えるときに使ってます、大学では使ってないですね(笑)。強いて言うなら、数学的思考が法律と共通するかなって、民法の解答の書き方とかに共通するものを感じます。

吉田先生  法学は文系の中で最も論理的だと言われています。自然科学的な理詰めの手法で考えていきますからね。

小松  全学教育の先生も、法学部の成績の良い人は入試の時の数学の成績と相関関係があるって言ってましたね。

進路、法学部で学んだことが、就職活動につながったか

吉田先生  それでは次に進路の話ですが、法学部の勉強とか大学生活が、どう就職活動につながったのか聞かせてください。

小松  就職活動の際に、法学部では1つの事を色々な方面から見ることを学んだと答えてきましたが、たしかにそうかなと思います。ゼミで判例を使ってアウトかセーフとか考えるけれど、捉えようによっては判断が分かれるという見方が身について良かったと思っています。それが進路を選ぶ際にも柔軟に対応できたかなと・・。しかし法学部の授業と就活が直結したかと言われるとそれはないです。公務員試験受けるには少し有利かなという感じです。

吉田先生  法曹を目指している逢見君はどうですか?司法試験のためだけの授業ってわけではないのは何となくわかると思うんだけど。

逢見  そうですね。民法は、吉田克己先生ですけど、他に司法試験2次選考委員をやってらっしゃった先生なんかはその話もしてくれますので興味深く聞けます。

井津元  確かに大学の授業は就職活動に直結はしにくいと思いますが、しかし中島岳志先生と児矢野マリ先生のゼミで、お2人の専門である南アジアと国際法について多角的に学ぶことが出来ました。純粋に視点が広くなってそれは進路を選ぶ上でも意味があったと思います。国際的な視点を持てましたから、それなりの意義があったと思います。

吉田先生  そんな先輩の話を聞いて野元さんどうですか。

野元  私は現段階では、公務員をめざしています。先輩からいろいろ教えていただいて、授業もしっかり聞いた方がいいかなと思っています。

吉田先生  大学を選ぶときに卒業後の進路まで考えて選びますか。

井津元  僕はそうは選んでいません。

小松  東京の大学の方が就職有利かなとは思いましたが、まあそこまでは関係ないかなと思いました。とりあえず民間にも入れるし心変りして弁護士もめざそうと思えばそれも出来るし。実際の就活では、東京の学生は慣れてる面はあるかなと思いますが、北海道から来たと言うだけで「よく来たね」とか「寒いでしょう」というきっかけがあるから有利だと思います。きっかけができます。また大企業だと北海道枠があるらしく、場合によっては若干有利な点もあったと思いました。

吉田先生  北大の場合は企業の就職担当者が実際に大学まで来てくれるので、随分と助かっていますね。では、最後に高校生へのメッセージをお願いします。

高校生へのメッセージ

小松  北大は入って、絶対に後悔しない大学だと思います。

井津元  大学入ったら、思ったより世界が広いことが分かると思います(笑)。

小松  北大は全国各地から学生が集まって来て、意外に関西弁は目立ちますね。

逢見  東北から来た人が結構多いですよね、思った以上に訛りが少なくて気づかないです。

吉田先生  彼らバイリンガルだから、隠すのがうまい(笑)。

野元  入学前よりも本当に世界が広がった感じで、関西弁を聞くとキュンとしますね(笑)。

逢見  他の国立大学行った友達と比べても、北大はすごい活気があって、楽しい大学だと思います。

井津元  こんなに自然環境が豊かで、キャンパス内でジンギスカンパーティが出来たり川が流れていたりして、他では出来ない楽しみ方が出来る点でも北大は素晴らしいと思いましたね。

吉田先生  東京の大学でジンギスカンやったら退学だね(笑)。

野元  部活とかサークルの場所も本当に広くて、やり甲斐があります。

吉田先生  東京の大学ではグラウンドが埼玉県とか、練習行くのに1時間とか・・。北大は全部そろっていて、アメフト、ラグビー、ホッケー場まであってびっくりしました。

井津元  ボブスレーのコースも学内にあります。

小松  農場どころか牧場まであって、学内に牛までいますしね。

吉田先生  では、そろそろ時間なので、今日はどうもありがとうございました。